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『ココロノナカノノノ』刊行記念対談 戸森しるこ×河合二湖 第2回

ココロノナカノノノ

2023年10月25日 更新

光村図書 出版課

母の妊娠と家族、中一少女の心の模様を描いたYA小説『ココロノナカノノノ』に関する情報をお届けします。

一年半にわたり『飛ぶ教室』で連載された、児童文学作家・戸森しるこ氏の作品「ココロノナカノノノ」が一冊の本になりました。刊行を記念して、作家・河合二湖氏と、作品や創作について語り合います。

自然とハッピーエンドに

戸森

今日対談でお話できることになって、河合さんの初期のご本を読み返したんですが、『バターサンドの夜』(講談社)、いいなって思いました。

河合

ありがとうございます。最初の作品だから自分の全てが入っているのかも。第一稿は、何も考えずに、一気に書いた気がします。

戸森

何回目の応募で新人賞に選ばれたんですか?

河合

四回目です。しるこさんは?

戸森

私は、五、六回目だったかな。応募しない年もありました。二十歳ではじめて応募して、二十九歳で新人賞に選ばれたんです。

河合

受賞の年齢がいっしょ! 自分の作品を客観的に読めた時に、道が開けた気がします。受賞する、しないの違い、何か分かりますか?

戸森

うーん、正直、私は『ぼくたちのリアル』(講談社)が書けた時デビューできそうって思いました(笑)。

河合

確信めいた予感、私もありました(笑)。ちなみに、落選した作品で、後に本になったものってありますか?

戸森

実は結構あります(笑)。落選しても取っておこう、いずれ本にしようって思うものもあるんですよね。

河合

しるこさんの場合、改稿しても登場人物はあまり変えないような気がしていますが、どうですか。

戸森

そうですね。登場人物は変えないです。

河合

作品に出てくる、どの人物もくっきりとした個性を持っている印象があります。今回の作品、主人公の寧音は、寂しさを抱えながら、ウェットに浸ることはなくひょうひょうと描かれています。だけど面白いのは、最後のほうに、そんな主人公のことを外側から眺めてちゃんと理解している子が出てきて……。読者にとっても、寧音にとっても救いになっているなと思いました。

戸森

一応、物語を書く時にハッピーエンドを心がけています。完全なハッピーエンドじゃなくてもいいんですけど、主人公が未来を見ている形で終われたらなと思っています。

河合

そこは意識的に?

戸森

そうですね。でも、自然とそうなるという感じでもありますね。

p25扉絵より
p25扉絵より

(この対談の全文は、2023年10月25日発売の「飛ぶ教室」75号にてお読みいただけます) 

戸森しるこ(ともり・しるこ)

児童文学作家

1984年埼玉県生まれ。児童文学作家。『ぼくたちのリアル』で講談社児童文学新人賞、児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。『ゆかいな床井くん』で野間児童文芸賞受賞。

河合二湖(かわい・にこ)

作家

1977年、山口県生まれ。作家。『バターサンドの夜、人魚の町で』で、講談社児童文学新人賞を受賞、同作(『バターサンドの夜』と改題)でデビュー。

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