山崎先生の授業アイデア
2016年7月14日 更新
山崎 正明 北翔大学教授
日々の美術の授業に役立つ、さまざまなアイデアをご紹介します。
第3回 「美術室づくり」の工夫(1)
どの先生も、さまざまな工夫をして美術室をつくられていることと思います。これから2回にわたり、私が美術室という学習環境をつくるときに心がけている、六つのポイントをご紹介します。
1. 用具や材料の置き方にひと工夫
私は、画材売り場でわくわくするような感覚を、美術室でも味わってほしいと思っています。ですから、用具や材料は、どこに何が置いてあるのか、パッと見てわかるようにします。
用具は、「切る」「削る」「彫る」などの技法別に分類して置いておくと、わかりやすいでしょう。材料は、松ぼっくりや木の枝のような自然素材から、ストローなどの日常で目にするもの、ねじなどのホームセンターに置いてあるようなものまで、さまざまなものを置いておくようにします。端材も分類して置いておけば、その多様な色や形から発想を広げる生徒も出てきます。実際に授業でそれらを使わなくても、そのような身近な素材が表現に使えるということを、生徒たちに感じ取らせることができます。
学年はじめのオリエンテーションや題材の導入時に、用具や材料の置き場所や使い方をきちんと紹介しておくことも大事です。そうすることで、生徒たちは、課題解決のために自ら必要な用具や材料を活用するようになります。
2. 机はフレキシブルに活用
授業の内容に応じて、机の並べ方を変えるようにしています。机の配置を工夫することで、表現や鑑賞がより深められると考えるからです。机の数を生徒数より多めにして、アレンジしやすくしておくとよいでしょう。
3. 美術室に用意しておくと便利なもの
私は次のものを、美術室に常に用意しておくようにしています。
【タブレット端末】
教師が、モニタにつなげてカメラ機能を使い、書画カメラのように使用します。授業の中で、生徒たちの制作過程の様子を見せるときに使うとよいでしょう。生徒たちの「発想・構想の能力」や「創造的な技能」が作品にどのように表れているか、全員で共有することができます。
【デジタルカメラとプリンタ】
生徒たちが、カメラを使って自主的に資料を集めることができるよう、カメラもプリンタも自由に使えるようにしておきます。
【厚さ2ミリのベニヤ板】
生徒がダイナミックに表現したいとき、床や机に置いて使います。汚れを気にせずに制作に打ち込め、後片付けも簡単。新聞紙やビニールシートよりも、扱いが楽で便利です。
以上、「美術室づくり」のポイントを三つご紹介しました。次回は、残りの三つのポイントをご紹介します。
山崎正明(やまざき・まさあき)
1957年北海道生まれ。北翔大学教授、元千歳市立北斗中学校教諭。北海道教育大学札幌校卒業。埼玉県で講師を務めた後、北海道の公立中学校教諭に。自身のブログ「美術と自然と教育と」で、授業実践や生徒作品などを紹介している。光村図書中学校『美術』教科書の編集委員でもある。