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笑顔があふれる学校経営のヒント 第1回

笑顔があふれる学校経営のヒント

2022年2月7日 更新

太田 元 東村山市立東村山第三中学校 統括校長

管理職や行政での豊富な経験から、子どもも大人も笑顔があふれる学校づくりのヒントをお伝えします。

太田 元(おおた・げん)

東村山市立東村山第三中学校 統括校長
東京音楽大学音楽学部(器楽科)卒業。これまでに、東京都公立中学校長、東京都公立小学校長、都・区・市教育委員会で指導主事、統括指導主事、指導課長を歴任。

第1回 学校における「希望」とは

学校は多くの笑顔があふれる場であってほしいと思います。「学校は…」と書きましたが、学校という場だけでなく、家庭でも地域でも、そして国でも世界でも、そこに生きている人が笑顔でいられる場であってほしいと願っています。

学校はそういう場を創り、支える人を育てる場です。ですから、学校という場には、「未来」があると思います。私たちは学校で、未来の担い手である子どもを、「希望」や「夢」のある未来を実現する人材に育てたいものです。

学校は「小さな社会」でもあるので、広く社会で起こることはどんなことでも起こり得る可能性があります。そして、社会で起こっていることに大きく影響を受けます。もちろん、人が動くのでそこにある種の「摩擦」が生じ、それがトラブルに発展することもあります。トラブルのない社会は理想ではありますが、現実にはトラブルのない社会はなかなか身近にはありません。ですから、トラブルを少しでもなくそうとしたり、トラブルになってもそれを他の人と協力して解決しようと前を向いたりする子どもを育てたいと思います。

そこで今回は3回にわたって、管理職として学校に笑顔があふれるようになるために、私自身が考えていることをお話ししていきます。

ピンチをチャンスに

長年、管理職として学校経営に携わってきましたが、ここ一、二年のコロナ禍における諸対応はもちろん経験したことはなく、読者の皆さんも大変な毎日を過ごされていると思います。さまざま失うことも多かったと思いますが、逆にここで得たことは、「過去の経験を通して未来を描くことの大切さ」です。重大な危機の場面を目の当たりにすると、自分の経験値だけではとても対応することはできないと悲観的に考えてしまいがちです。しかし、どの学校関係者の皆さんも、毎日毎日必死に目の前の子どもたちに向かってきた、その積み重ねこそ、今日の学校教育を支える原動力となるものだと思います。

たとえ今回のコロナ禍の諸対応そのものでなくとも、その経験の上に立って考えた、または想像した少し先の安全・安心を目指した取り組みは決して無力ではなかったはずです。私たちは過去の経験を通して未来を描く力を日々身に付けているのかもしれません。コロナ禍を経験し、私自身管理職として感じること、まずは「希望」ということを改めて考えてみたいのです。

今回のコロナ禍のように今までの「当たり前」が当たり前でなくなり、できていたことができなくなる中で、私は改めて何を「希望」として求めているかを自らに問う毎日でした。一言に「希望」と言っても、置かれている場面によって違うし、誰にとっての「希望」なのかによっても違うと思います。そのような中で、学校における「希望」とはどんなことなのでしょうか。

私は、学校における「希望」とは、「今日の『小さな力』が明日に繋がり、明日の姿が見えて期待がもてること」ではないかと思います。

具体的にいろいろな立場で考えてみると、

  • 生徒にとっては、「実現したらいいな…」が、自分の努力によって実現すること
  • 教員にとっては、指導の成果が「生徒の姿」に表れ、生徒の成長が感じられること
  • 職員にとっては、「学校」で働くやりがいを、教員や生徒、保護者との関係性の中で感じること
  • 保護者にとっては、子どもが自分の将来に向けて期待感をもち、今日を大切にしていること
  • 地域にとっては、中学生の様子に一喜一憂しながら、それでも彼らの将来が地域とともにあるであろうことを感じること

私はこのようなことを日常の中で具体的な場面や状況に見いだし、価値付けができる力を管理職としてもっていたいと思います。

太田 元(おおた・げん)

東村山市立東村山第三中学校 統括校長
東京音楽大学音楽学部(器楽科)卒業。これまでに、東京都公立中学校長、東京都公立小学校長、都・区・市教育委員会で指導主事、統括指導主事、指導課長を歴任。

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