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2年上巻「みの回りのものを読もう」

「こんな授業ができます!」 令和6年度版小学校国語

2025年7月11日 更新

東泰右 香川大学教育学部附属坂出小学校教諭

2年上巻「みの回りのものを読もう」の授業づくりのアイデアを紹介します。

情報を伝えるための工夫に注目して読もう

単元観

身の回りの表示などの特徴を考える活動を通して、大事な情報を読み取る力を培う単元である。「もし、『あぶない』の言葉がなかったら。」などと、言葉の意味・働き・使い方に着目しながら考えるという国語科において重要な力を培うことにも適している。身の回りのものを題材として取り上げ、ICT端末を活用することで児童の意欲を高めたい。

  • 「もし、~だったら。」の話型を用いることで、工夫がある場合とない場合を比較しながら、その効果について考えられるようにする。
  • 実際に校内にある表示や看板を探す活動を取り入れ、児童の意欲を高める。
  • ICT端末を用いることで、見つけた表示の撮影とその共有を容易にする。

単元の目標

身の回りの表示から大事な言葉を選び、伝えたいことやそれを伝えるための工夫を読み取ることができる。

評価規準

◎「読むこと」において、文章の中の重要な語や文を考えて選び出している。[思C(1)ウ] 
○言葉には、事物の内容を表す働きがあることに気づいている。[知(1)ア]
〇「読むこと」において、文章の内容と自分の体験とを結び付けて、感想をもっている。[思C(1)オ]
○積極的に身の回りのものから重要な情報を読み取り、学習課題に沿って、考えを交流しようとしている。[主体的に学習に取り組む態度]

単元の授業過程(全2時間)

学習活動

1

①教科書P118のアの写真を見て、この看板が伝えていることについて話し合う。
・教科書の例の代わりに、校内や地域に実際に設置されているものを提示することで、さらに児童の関心を高めることも考えられる。
T:この看板は、何を伝えているでしょうか。
C:この川に近づいたら危ないということを伝えているのだと思います。
T:それは、この看板のどこから分かりますか。
C:「あぶない」と大きく書いているところです。
C:波が大きく口を開けているところです。
T:この看板では、「文字の大きさ」や「絵のつかい方」を工夫して、大事なことが伝わるようにしているのですね。
②イ~エの写真を見て、それぞれが伝えていることや、その工夫について話し合う。
・工夫についての児童の発言をまとめることで、アで見つけた「文字の大きさ」「絵のつかい方」以外にも、「色づかい」や「ことばの多さ」といった観点を共有する。
・児童の発言に対して、「もし、~だったら。」のように問い返すことで、工夫がある場合とない場合を比較しながら、その効果について考えられるようにする。
C:イは、「もえる」と「もえない」で色が分かれているし、「もえない」のほうに線が入っているから分かりやすいです。
T:もし、この絵がなく、文字だけで書いてあったらどのように感じますか。
C:文字だけだと、「もえる」と「もえない」が似ているから、ぱっと見てどちらかが分かりづらいです。
③本時の学習を振り返り、次時の見通しをもつ。
・振り返る内容が明確になるように、「分かったこと」「次にやってみたいこと」などの観点を提示する。
・振り返りの内容を共有することで、次は学校にある表示を見つけて紹介したいという思いを引き出す。
<評価のポイント>
※身の回りの表示には、大事な情報を伝えるためのさまざまな工夫が使われていることを捉えている。
※大事な言葉に着目して、それぞれの表示が伝えていることを読み取っている。また、大事な情報を伝えるための工夫について、自分の考えをもっている。

2

①前時の学習を振り返り、本時のめあてを設定する。
・電子黒板に前時の板書を提示することで、前時の学習を想起しやすくする。
めあて「みの回りのひょうじがつたえていることや、そのくふうをしょうかいしよう。」
②学校にある表示を探し、それらが伝えていることや伝えるための工夫を読み取る。
・見つけた表示はICT端末を用いて撮影しておくことで、後の活動で活用しやすくする。
・実態に応じて、ペアやグループ単位で活動を行ったり、校内だけでなく、地域や家庭で見かけた表示を事前に撮影しておき、それらを紹介したりする活動も考えられる。
・見つけた表示の中から、紹介したいものを一つ選ぶよう指示することで、伝えたいことが明確で、伝えるための工夫が効果的なものに焦点化できるようにする。
・前時の学習を想起させ、「もし、~だったら。」と考えると、工夫の効果がより分かりやすくなることを確認しておく。
③見つけた表示と、それが伝えていることや工夫について交流する。
・まずは、同じ表示を撮影している人どうしで交流して考えを深めた後、異なる表示を撮影している人と交流することで、考えを広げることができる。その際、学習支援ソフトなどを用いて、それぞれが撮影した写真を一覧して共有することで、交流相手を選ぶ手がかりとする。
・同じ表示を撮影している場合でも、そこから読み取った情報が異なることがあることを伝え、交流の意欲を高める。
・工夫について伝える際に、「もし、~だったら。」の話型を用いると、その工夫の効果がより伝わりやすいことを確認しておく。
C:僕は、階段を降りたところでポスターを見つけたよ。「とまって!」と大きな赤い文字で書いてあるから、目につきやすいと思うよ。
C:私も同じポスターを選んだよ。子どもと子どもがぶつかっている絵が描いてあるから、階段を降りたところで止まらないと、けがをするかもしれないということが伝わるね。
C:もし、「とまって!」の文字が目立たなくて、分かりやすい絵もなかったら、このポスターに気づかずに階段を走って降りてしまうかもしれないね。
・実態に応じて、もっと工夫できそうなところについて伝え合う活動を取り入れることで、重要な情報を伝えるための工夫をより意識させることも考えられる。
④本時の学習を振り返り、今後の生活にいかせそうなことを考える。
・振り返る内容が明確になるように、「分かったこと」「これからの生活でいかしたいこと」などの観点を提示する。
・駅や図書館、交差点など、児童にとって身近な場所にある表示をいくつか提示することで、身の回りの情報を伝えているものを探したり、そこにどんな工夫がされているかを見つけたりしてみたいという思いをもてるようにする。
<評価のポイント>
※大事な言葉に着目して、それぞれの表示が伝えていることを読み取っている。また、大事な情報を伝えるための工夫について、自分の考えをもっている。
※積極的に身の回りのものから重要な情報を読み取り、学習課題に沿って、考えを交流しようとしている。

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