教えて!青山先生 個別最適な学び×協働的な学び
2024年2月1日 更新
青山 由紀 筑波大学附属小学校教諭
個別最適な学びと協働的な学びを実現するために、小学校国語の授業でできることとは? 筑波大学附属小学校の青山由紀先生にうかがいました。
第1回 子どもの問いがつなぐ 個別最適な学び×協働的な学び
個別最適な学びと協働的な学びを一体的に実現するためには、まず、一人一人の「学びたい」を引き出すことが重要です。そのとき、学びのエンジンになるのが「問い」。「問い」がもてると「学びたい」「自分の考えを聞いてほしい」という思いが生まれて、友達の考えも聞きたくなってきます。“個別”と“協働”をつなぐ「問い」について、筑波大学附属小学校の青山由紀先生に語っていただきました。
問いを交流しよう
「問いをもとう」と言われて、すぐに問いを見つけられる子は多くありません。そこで、「読むこと」では、全文通読後に「①思ったこと・感じたこと」「②ちょっとした疑問」「③みんなと考えたいこと」の三つに分けて、初発の感想を書いてもらっています。「ごんぎつね」(4年)では、ある子が②に「どうしてけむりのことが書いてあるんだろう。」と書いたところ、別の子から「これは③にしようよ。」と言われていました。このように、自由に交流すると、一人の問いがみんなの問いになって、ともに追究していく場面が生まれます。
問いをもって学び合おう
「くちばし」(1年)で図鑑作りを行った際には、同じ鳥を選んだ子どうしで、真剣に、楽しく学び合う姿がありました。低学年は、活動ベースで課題意識をもつことが、「どう書けばいいんだろう。」「もっといい言葉はないかな。」という「問い」につながります。このとき、誰と学ぶかなど、ある程度、学び方を子どもたちに委ねることが、主体的に学習に取り組む態度をはぐくんでいきます。
気軽に問いを見つけよう
「固有種が教えてくれること」(5年)では、単元扉にある2種のウサギの絵を見るだけで、「えぇっ、こっちの黒いほうもウサギなの。」「茶色のほうはよく見るから、黒いほうが『固有種』ってことじゃないかな。」などと、それぞれに「問い」が出てきます。何もないところからは「問い」は生まれませんが、一つ「問い」をもてれば、子どもの心が動き始め、「問い」が「問い」を呼びます。素朴な疑問も、やがて質の高い「問い」になります。教科書の中から、子どもが「問い」をもちそうなところを見つけることが、教材研究としても大事になってくるでしょう。
必ず自分の問いに戻ろう
一斉授業やグループワークなどで、個別最適な学びを成立させるには、条件があります。それは、みんなで学び合っているときにも、子どもたち一人一人が自分の「問い」をもち続け、自分なりに考えること。そして、学習後に、自分はどこまで分かったのか、次はどうしたいのかを書いて振り返ることです。個の問いから学びが始まって、みんなで協働的に学び、最後には個の問いに返る、そしてまた次につなげていく、このようなサイクルが、一人一人の学びを保障し、活用・転用できる言葉の力を育てるのです。
タイトル画像提供:PIXTA
青山 由紀(あおやま・ゆき)
筑波大学附属小学校教諭
筑波大学附属小学校教諭。日本国語教育学会常任理事。全国国語授業研究会常任理事。著書に『「くちばし」「じどう車くらべ」「どうぶつの赤ちゃん」全時間・全板書』(東洋館出版社)、『こくごの図鑑』(小学館)などがある。光村図書小学校『国語』『書写』教科書編集委員。
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