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2024年7月24日 更新

西村 まさゆき ライター

語彙力アップに欠かせない国語辞典。辞書に詳しいライターの西村まさゆきさんに、国語辞典にまつわる自由研究のヒントをご紹介いただきました。

みなさんは、国語辞典を普段どんなふうに使っていますか? 押し花の重石に、とか、枕の代わりに……という人もいるかもしれません。国語辞典をモノとして使うのも便利ではありますが、そうではなく、一つのおもしろい書籍として見てみるというのはどうでしょう? 私は普段、国語辞典のちょっと気になる記述を探したり、国語辞典を使ったゲームを考えたりして、インターネットなどに記事を書いております。今回、そんな国語辞典のおもしろさを少しでも体験できるような試みを、二つほど紹介させていただきます。

目次

自分のための、自分だけの辞書を作ってみよう

国語辞典を使ったゲームをしてみよう

自分のための、自分だけの辞書を作ってみよう

国語辞典を調べると、自分が普段使っている言葉や、好きな物事に関わる言葉が載っていないということも多々あります。
それならば、いっそのこと、国語辞典に載っていない言葉を集めて、自分のための、自分だけの辞書を作ってしまいましょう。
なにも言葉を何百も何千も集める必要はありません。まずは5〜10個ほどでもかまいません。言葉を集めて整理して、国語辞典の書き方に沿って書いてみましょう。

辞書作りの画像
子ども向け国語辞典。右から、Gakken『新レインボー小学国語辞典 改訂第7版 小型版(オールカラー)』、小学館『例解学習国語辞典』、ベネッセ『チャレンジ 小学国語辞典』、光村教育図書『小学新国語辞典 三訂版』、三省堂『例解小学国語辞典』。

1 そもそも国語辞典にはどんな言葉が載っているのか?

辞典には、その種類によって、さまざまなものがあります。その中でも、国語辞典は、普段使う日常の言葉を広く集めたものですが、どんな言葉が掲載されているかわかりますか?
一般的な国語辞典は、基本的な言葉のほか、編集方針により、地名や人名、商品名などの固有名詞、生き物や物質の名称といった、いわゆる「百科語」といわれる専門的な言葉をどこまで掲載するのかによって、辞書ごとに特徴があります。

小学生が使うことを想定して編集された子ども向けの国語辞典は、各社から出ていますが、おおむね、基本的な語彙や普通名詞以外に、小学校の各教科で習う範囲の固有名詞や百科語などを積極的に掲載しているものがほとんどです。
例えば「法隆寺」や「コロンブス」「日本海溝」「ヒマラヤ山脈」といった、一般的な国語辞典には掲載されてないけれど、小学生向け国語辞典には必ず載っている言葉というものもあります。

2 自分が興味のある、あるいは詳しいジャンルの言葉を調べてみよう

では、手始めとして、自分が興味のあるジャンルの言葉を思いつくかぎり書き出して、国語辞典で引いてみましょう。
例えば、筆者が好きな「鉄道」に関する言葉。国語辞典にはどんなものが載っているのか、手元の国語辞典(Gakken『新レインボー小学国語辞典 改訂第7版 小型版(オールカラー)』)で調べてみます。

辞書作りの画像
「てつどう(鉄道)」が載っているページ(Gakken『新レインボー小学国語辞典 改訂第7版 小型版(オールカラー)』)

●国語辞典に載っている鉄道関連の言葉

「てつどう(鉄道)」「でんしゃ(電車)」「きっぷ(切符)」「えき(駅)」「モノレール」「かもつれっしゃ(貨物列車)」「エスエル(SL)」「しんかんせん(新幹線)」「こくてつ(国鉄)」「じぇいあーる(JR)」「メトロ」「かいそく(快速)」「きゅうこうれっしゃ(急行列車)」……など。

「鉄道」は、好むと好まざるとにかかわらず、私たちの生活に関わることが多いジャンルであるためか、意外とたくさんの言葉が掲載されています。とはいえ、次に挙げるような掲載のない言葉もけっこうあります。

●国語辞典に載っていない鉄道関連の言葉

「やまのてせん(山手線)」「ろめんでんしゃ(路面電車)」「エルアールティー(LRT)」「ろせんず(路線図)」「ぜろけいしんかんせん(0系新幹線)」「のぞみ」「ひかり」「こだま」「ドクターイエロー」「じゅんきゅう(準急)」「ナローゲージ」……など。

国語辞典に載っていない言葉には、固有名詞や専門的すぎる言葉などが多いことがわかります。
この、載っていない言葉の中から、国語辞典ふうに解説する言葉を5~10程度選びましょう。

辞書作りの画像
国語辞典に載っている言葉と載っていない言葉

3 国語辞典ふうの解説はどんなふうにすればよい?

では実際に、国語辞典ふうの解説を書いてみましょう。

(1)言葉の読み方「見出し語」を書きます。国語辞典は、五十音順で言葉を探すので、必ず、平仮名か片仮名で見出し語を作ります。

ろせんず

(2)漢字やアルファベットの表記がある場合は、かっこ書きで付け加えます。

ろせんず【路線図】

(3)その言葉が、どんな種類の言葉なのかの「分類」を書きます。「名詞」「動詞」「形容詞」「四字熟語」「慣用句」などの分類です。しかし、これは自分で作る辞書には、必須というわけではないので、難しいと思う場合はなくてもよいかもしれません。

ろせんず【路線図】(名詞)

(4)その言葉の意味「語釈」を書きます。50文字程度の文字数を目安に、その言葉を説明してみましょう。

ろせんず【路線図】(名詞)図形を使って、鉄道路線をわかりやすく案内するための案内図。

さて、ここで、自分の書いた語釈をもう一度読み直してみます。ここで肝心なのは、自分で書いた語釈を、かなり批判的に読み直すことです。なんならよくわかっていない人が書いた文章だと思って、自分の書いた文章に遠慮なく文句を言いましょう。上の例でいえば「路線図を使うのは、鉄道だけだろうか?」「案内するための案内図、は同じことを2回言っている?」など、気づいたところを修正します。

ろせんず【路線図】(名詞)図形を使って、交通機関の運行経路をわかりやすく表した案内図。

(5)語釈が書けたら、次は「用例」です。用例はその言葉が実際にどんなふうに使われているのかを示すためのものです。無理に付けなくてもよいと思いますが、その言葉ならではの使い方(例えば「気性」の場合「はげしい(激しい)」という言葉とセットで使われることが多いので、そういう使い方の例など)があるような場合は、ぜひ書き加えたほうがいいでしょう。

用例を加える場合、用例を自分で創作してもかまいませんが、せっかくなので実際に使われているところから引用してみるのもおもしろいかもしれません。新聞、雑誌、書籍から引用する場合は、どこから引用したのかをきちんと書き添えるとよいでしょう。

インターネットで調べる場合は「用例.jp」というウェブサイトがあります。このサイトでは、目的の言葉を入れて検索すると、その言葉が、どんなところでどんなふうに使われているかを検索してくれますので、それを参考にするのもよいかもしれません。
また、「国立国会図書館デジタルコレクション」で言葉を検索してみるのもよいかもしれませんが、こちらは、利用登録などの手続きが必要です。ただ、明治時代から昭和時代ごろまで、国立国会図書館で収集している、書籍などの資料をインターネットで検索することができ、たいへん便利です。

ろせんず【路線図】(名詞)図形を使って、交通機関の運行経路をわかりやすく表した案内図。[例]東京市高速鐵道路線圖(東京市電氣局)(日本統計普及会 編『帝都復興事業大観』上)

(6)これで終わってもよいのですが、この後に[参考]として、その言葉にまつわる豆知識的な情報を書き足してもよいでしょう。

ろせんず【路線図】(名詞)図形を使って、交通機関の運行経路をわかりやすく表した案内図。[例]東京市高速鐵道路線圖(東京市電氣局)(日本統計普及会 編『帝都復興事業大観』上)[参考]バスや路面電車の路線図は、系統図とよぶ場合もある。

辞書作りの画像
最終的に、こういう形に整える。

以上で一つの項目が完成しました。項目をまとめているうちに、書いていることが合っているのか、勘違いを書いていないかを、インターネットや書籍などの信頼できる資料で調べて確かめましょう。
この後、メモ帳やノートに、手書きで清書してまとめるのもいいかもしれません。

本来は、国語辞典ふうに書く場合、さまざまな決まりやルールがあるわけですが、これは、自分だけの辞書なので、あまり難しく考えず「その言葉を知らない人に向けて簡単に説明する」つもりで、書いてみましょう。

4 参考までに、筆者が作った「自分のための鉄道用語辞典」を掲載しておきます

エルアールティー【LRT】(名詞)ライト・レール・トランジット(次世代型路面電車システム)の略。道路に線路を敷いて走る路面電車の一つだが、線路専用の部分を多くして、普通の路面電車よりも早く正確に運行できるように工夫された電車。[参考]日本では、宇都宮ライトレールのほか、都電荒川線や、広島電鉄宮島線などがそれにあたる。

こだま(名詞)東海道新幹線の運行種別の一つ。東海道新幹線の17駅すべてに停車する。

じゅんきゅう【準急】(名詞)通過する駅が設定された優等列車の一つ。準急行列車の略。おおむね急行列車よりも停車駅が多い列車に名付けられる。[参考]一般的には特別料金を支払わず、運賃のみで乗車できる場合が多い。

ぜろけいしんかんせん【0系新幹線】(名詞)1964(昭和39)年に開業した東海道新幹線で運行された新幹線の初代の車両。旅客機のような、丸みをおびた先頭部が特徴。山陽新幹線でも使われたが2008(平成20)年に引退した。[参考]1980(昭和55)年に200系の新幹線が登場するまでは、新幹線といえば0系新幹線のことだった。

ドクターイエロー(名詞)新幹線の線路や設備を点検するために運行させる黄色く塗装された新幹線の愛称。[参考]2027(令和9)年までに、ドクターイエローの運行は終了される予定。

ナローゲージ(名詞)線路のレールの幅が、1067ミリより狭い線路を、ナローゲージとよぶ。[参考]日本で鉄道として営業するナローゲージの列車は現在、富山県と三重県に3路線存在している。

のぞみ(名詞)東海道新幹線の運行種別の一つ。東海道新幹線の駅のうち、東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の6駅だけに停車する。

ひかり(名詞)東海道新幹線の運行種別の一つ。東海道新幹線の駅のうち、のぞみの停車駅に加え、小田原、熱海、浜松、米原など14の駅に停車するが、列車によって停車駅が変わる。

やまのてせん【山手線】(名詞)東京都の都心部を環状に走るJR東日本の鉄道路線。ラインカラーは黄緑色。1925(大正1️4)年に環状運転が開始された。[参考]読み方を「やまてせん」としていた時期があるため、今でもそう読むこともあるが、現在は「やまのてせん」となっている。

ろせんず【路線図】(名詞)図形を使って、交通機関の運行経路をわかりやすく表した案内図。[例]東京市高速鐵道路線圖(東京市電氣局)(日本統計普及会 編『帝都復興事業大観』上)[参考]バスや路面電車の路線図は、系統図とよぶ場合もある。

いくら自分が好きな、あるいは興味のあるジャンルの言葉とはいえ、その言葉を「人に説明するつもり」で実際に解説しようとすると、意外と言葉に詰まってしまうことがあったりします。私も、実際に「都電荒川線」も「LRT」の仲間だとか、「ドクターイエロー」が運行終了してしまうといった情報は、調べてみて改めて内容を詳しく知ったしだいです。ところで、この自分だけの辞書は、パソコンの中にテキストデータとして残すのもよいのですが、ワープロソフトなどで成形してプリントアウトしたり、または自分で実際にノートやカードに手書きで清書したりしてまとめてみるのも一興かもしれません。

国語辞典を使ったゲームをしてみよう

「国語辞典は、言葉の意味を調べるときに使えばよい……」と、思っている人はいますか? 今すぐ、その考え方は捨てちゃってください!
実は、国語辞典1冊があれば、それを使ったゲームをすることができるのです。
国語辞典を使ったゲームは「たほいや」や「コトバト」など、いろいろとありますが、今回は、比較的少人数で簡単にできるものを中心に、四つのゲームについてまとめてみました。

辞書遊びの画像
子ども向けの国語辞典でもゲームに使えます。

国語辞典の「語釈」(言葉の意味)の部分だけを読み上げ、その見出し語を当てるゲームです。「ズッキーニ」が例題としてよく出されることから、このような名前が付いたといわれています。

●参加人数
最低2人~

●必要なもの
国語辞典1冊

●ゲームのやり方

  1. 「親」と「プレイヤー」に分かれます。親は、国語辞典の任意の見出し語を取り上げ、その語釈(言葉の意味)だけを読み上げます。
  2. プレイヤーは、語釈をヒントにしてその言葉が何であるかを予想し、答えます。
  3. 用例(言葉の使い方の例)など、答えがそのまま書いてあってわかってしまうような部分は、出題者の判断で省きます。問題が難しい場合はヒントとして、「ホニャララ」というふうに隠して言うようにします。
  4. 問題によっては、とても難しくなったり、とても簡単になったりと難易度が一定しないので、難しい場合は、出題者が、答えとなる言葉の先頭の文字、2番目の文字、言葉の種類、正解を隠して用例を言う、などのヒントを少しずつ出していきます。
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「徹頭徹尾」を問題として出題する場合に読む場所(Gakken『新レインボー小学国語辞典 改訂第7版 小型版(オールカラー)』)

このゲームは、ルールがたいへんわかりやすく、国語辞典が1冊あれば気軽にできます。特に、固有名詞が多く掲載されている小学生向けの国語辞典を使うと、クイズのようになっておもしろいかもしれません。ただし、先にも書きましたが、言葉によってはとても難しくなってしまう場合があるので、少しずつヒントを出しながら、正解まで導いていくのがおもしろいと思います。

意味(語釈)の項目(ブランチ)を複数もつ言葉(見出し語)の、後ろのブランチから順に語釈を読み上げていき、早く当てた人が勝ち、というゲームです。

●参加人数
最低2人~

●必要なもの
国語辞典1冊、メモ帳、筆記用具

●ゲームのやり方

  1. 「親」と「プレイヤー」に分かれます。親は、国語辞典の任意のページを調べ、意味が複数のブランチに分かれている見出し語を探します。
  2. 親は、そのブランチの後ろのほうの語釈から読み上げていきます。
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「逆からブランチ」で出題しやすい言葉。ブランチが多い言葉が出題しやすい。(光村教育図書『小学新国語辞典 三訂版』)
  1. わかった人は、「わかった」と宣言し、ブランチの数字と、なんという見出し語かを自分のメモ帳にメモして伏せておきます。
  2. すべての人が答えを書き終わるか、親がすべての語釈を言い切るかしたら、全員が答えをオープンします。ブランチの数字がより大きいほうで正解できた人が勝ちです。
  3. 「用例」は、項目の言葉がそのまま出てくるケースが多いので、基本的に読まないようにします。あるいは、出題者の判断で「ホニャララ」みたいな形で隠して読み上げてもよいでしょう。
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出題者が実際に読み上げる場所(光村教育図書『小学新国語辞典 三訂版』)

このゲームは、「ズッキーニ」をちょっとだけ難しくしたゲームです。小学生向けの国語辞典だと、基本の語彙(「走る」「動く」「再生」)のような、意味が多い言葉を使うと、やりやすいでしょう。また、全員が答えを筆記するのではなく、わかった人から答える「早押しクイズ方式」でやってもよいかもしれません。このゲームも、出題する見出し語によっては、難易度が一定しないので、出題者が難しさに応じてヒントを出すなどするとよいかもしれません。

国語辞典を開いたときの、見開きのページに載っている言葉(見出し語)を予想し合って、挙げていくゲームです。見出し語の並びのルールが頭に入っていないとかなり難しいので、メモを取りながらやるのがおすすめです。

●参加人数
最低3人~5人ぐらい

●必要なもの
国語辞典1冊、メモ帳、筆記用具

●ゲームのやり方

  1. 「親」と「プレイヤー」に分かれます。親は、国語辞典の任意の1ページを開きます。その見開きの右ベージのいちばん右上に載っている言葉(見出し語)と、左ページのいちばん左下に載っている見出し語をプレイヤーに伝えます。
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赤矢印から青矢印までの見開きに載っている言葉を当てます。(Gakken『新レインボー小学国語辞典 改訂第7版 小型版(オールカラー)』)
  1. プレイヤーはじゃんけんし、順番を決めます。順番を決めたら、その見開き内に載っていそうな見出し語を次々に挙げていきます。そのとき、自分の言った言葉はメモしておくとわかりやすいでしょう。
  2. 親は、プレイヤーの言った見出し語を判定していきます。「相手がすでに出した見出し語を言う」「見開き内に載っていない見出し語を言う」「見出し語が思いつかない」「パス」などの理由で、3回ペナルティを取った人から失格となります。最後まで残った人の勝ちです。
  3. 同音異義語(「橋」「箸」「端」など)は、漢字を書いたり、意味を言ったりする(「橋梁」の「橋(はし)」、ご飯食べるときに使う「箸(はし)」など)ことができればOKとします。
  4. 漢字については、例えば「拒否の否(ひ)」「昆虫の虫(ちゅう)」などのように、それがなんという漢字か言えればOKとします。
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漢字の項目があるところは、何の漢字かが言えればOK。(光村教育図書『小学新国語辞典 三訂版』)
  1. プレイヤーが、見開きにあるすべての言葉を、被らずにすべて言い切ることができたら、引き分けです。みんなでそのプレイヤーたちを「すごい」と褒めたたえましょう(そんなことめったにないと思いますが……)。

このゲームは、国語辞典の言葉がどんな順番で並んでいるのか覚えておくことがポイントです。言葉が並ぶ順番は、国語辞典の最初のほうのページに「見出し語の並び順のルール」として必ず載っています。

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見出し語の並び順の解説。おおむね、どの国語辞典もほぼ同じルールで並んでいます。(Gakken『新レインボー小学国語辞典 改訂第7版 小型版(オールカラー)』)

この部分を、ゲームを始める前によく読んでおきましょう。また、その国語辞典にどんな言葉が載っているのかを予想することもコツかもしれません。なお、メモを取らずに、頭の中だけで覚えておいて回答するのはけっこう難しいので、プレイヤーは、メモを取りながらやると、やりやすくなると思います。

普通のしりとりとはちょっと違い、自分の言った言葉の点数を競うしりとりゲームです。事前に決めておいたボーナスルールに基づいて、しりとりを行い、国語辞典を使って点数を計算し、勝敗を決めます。

●参加人数
最低2人~4人ぐらいまで

●必要なもの
国語辞典1冊、メモ帳、筆記用具

●ゲームのやり方

  1. 「親」と「プレイヤー」に分かれます。代表のプレイヤーは、事前に作っておいた「ボーナス条件カード」をくじで1枚引き、ボーナス条件を決めます。ボーナス条件の例は以下のとおりです。

    【基本の加点】
    準備した国語辞典に載っている言葉はプラス1点。載っていない言葉は0点。

    【ボーナス】
    国語辞典に載っていて、かつ次の条件を満たせばプラス1点。
    1. 2文字以上の回文(「ちち(父)」「しんし(紳士)」など)。
    2. 英語以外の外来語(「合羽」「かるた」「アルコール」「アルバイト」など)。
    3. イラストが付いている言葉。
    4. ことわざや慣用句として掲載されているもの(例えば「風が吹けば桶屋がもうかる」は、単独で項目となっていなくても「風」の中にことわざとして掲載されていればOK)。
    5. その国語辞典で「特に重要な言葉」「重要な言葉」などとなっているもの。
    6. 生き物(動物・昆虫)の名前。
    7. 漢字表記4文字以上の言葉。
    8. 地名。
    9. 植物の名前。
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ボーナス条件カードの例
  1. プレイヤーは、ランダムに開いた国語辞典の見開きの右上の言葉(「ん」で終わる言葉の場合は、その次の言葉)に続けて、何も見ずに普通にしりとりを行いますが、お互いに言った言葉をどこかにメモしておきます。なお、最後に「ん」のつく言葉や、他の人がすでに言った言葉を間違えて言った場合、言い直しができます。
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メモの取り方
  1. プレイヤーがそれぞれ5個の言葉をしりとりで言い終わったら、ひとまず終わり、採点に入ります。
  2. 採点タイムでは、それぞれが言った言葉を国語辞典で調べ、条件によって点数を加点していきます。加点は、まずはその国語辞典に載っているかどうかが基本となります。加点条件に合っていたとしても、国語辞典に載っていなければその言葉は0点です。
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採点のしかた。上の例は「生き物(動物・虫)の名前」はプラス1点ボーナスというルールで採点しました。
  1. 最終的に点数が多かった人が勝ちとなります。点数が引き分けの場合は、代表のプレイヤーがボーナス条件カードをもう1枚引き、そのカードの条件でさらに点数を加算し、それでも勝負がつかなかったら引き分けとします。

採点時、点数は国語辞典で調べるわけですが、使う国語辞典によっては、イラストがない場合や、ことわざの取り上げ方、外来語の表記のしかたなどが違っている場合があるので、ゲームを始める前にルールを調整するとよいでしょう。また、加点条件は、「歴史上の人物の名前はプラス1点」「平仮名1文字の名詞はプラス1点」など、オリジナルの加点条件を作ってもおもしろいかもしれません。

以上、国語辞典を使ったゲームを四つ紹介しました。
繰り返しになりますが、使う国語辞典によっては、掲載されている言葉や方法が異なることがあるので、そういった場合は事前にルールを調整してやってみてください。

今回、ゲームで使った国語辞典は小学生向けのものでやりましたが、大人向けの辞書を使ってやるのもまた違ったおもしろさがあると思います。ここで提案したゲームは、必ずこのルールでやらなければならない、ということはありません。自分たちでもっと盛り上がる新しいルールを考え出したり、いろいろなゲームの要素を取り入れたりしてみるのもよいと思います。辞書は、きれいな箱に納めてうやうやしく本棚に飾るだけでなく、こうやって箱から取り出して使ってこそおもしろさが発揮されます。ぜひ、家にある辞書を引っ張り出して、まずはどこにどんなことが書いてあるのか、眺めて読んでやってください。

プロフィール画像

西村 まさゆき(にしむら・まさゆき)

ライター

鳥取県出身、東京都在住。国語辞典を集めているうちに、国語辞典マニアのイベントを行うほどになってしまった。めずらしい乗り物に乗ったり、地図で見た気になる場所に行ったり、辞書を集めたりしている。著書に『ぬる絵地図』(エムディエヌコーポレーション)、『押す図鑑 ボタン』(小学館)、『ふしぎな県境』(中公新書)など。

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