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第2回 デジタル端末、どう使う?

教えて!青山先生 個別最適な学び×協働的な学び

2024年2月1日 更新

青山 由紀 筑波大学附属小学校教諭

個別最適な学びと協働的な学びを実現するために、小学校国語の授業でできることとは? 筑波大学附属小学校の青山由紀先生にうかがいました。

第2回 デジタル端末、どう使う?

GIGAスクール構想の推進や、教育DXの実現を目ざし、子どもたちに一人一台のデジタル端末が整備されました。その端末を使って、「個別最適」と「協働」をどのように実現し、言葉の力を育てていくとよいのでしょうか。取り組みやすく効果的な活動について、筑波大学附属小学校の青山由紀先生に語っていただきました。

撮影機能で個性をいかそう

誰でも手軽に扱えるのは、撮影機能です。「しらせたいな、見せたいな」(1年)で観察記録を書くときには、記録のために写真を撮ることが考えられます。同じ観察対象でも、どのような写真を撮るかには必ず個性が出てきます。また、気づいたことを写真に直接書き込んだり、複数の写真を比べながら書いたりすることもできるため、低学年でも考えを広げやすくなるでしょう。「わたしたちの学校じまん」(3年)など紹介するスピーチのときには、写真の一部を拡大しながら話すこともできますし、情報収集が手軽にできる分、集めた情報の整理や、表現の言葉選びに時間をかけられます。

協働で試行錯誤しよう

自分の考えを整理する場面でも、デジタル端末は活躍します。紙のノートと違って、消したり書き直したりすることが容易なので、子どもたちも試行錯誤がしやすいようです。例えば、「読むこと(説明文)」では、段落どうしの関係や資料の役割などについて、考えを書き込んだ付箋メモを、端末上で自由に動かしながら整理するとよいでしょう。端末を見せ合いながら交流するときも、考えが変わったらすぐに書き直す様子が見られます。協働的な学びの効果が表れやすい活動といえるでしょう。

プレゼンシートで交流を促進

プレゼンテーションソフトは、考えをまとめて交流する活動でぜひ使いたいツールです。「やなせたかし」(5年)では、自分が選んだ伝記をもとに、プレゼンシートを数枚作成して、ポスターセッション形式で交流しました。シートごとに、人物の生涯、感銘を受けたこと、自分と重ねて考えたことなどをまとめます。文字数を制限することで、目的に応じて要約しながら考えをまとめる力が育ちます。意見の交流も焦点化できるため、自分にとっての意味も深く考えるようになりました。

一人一人の特性に応じて

一人一台のデジタル端末があることで、さまざまな特性をもつ子どもたちが、それぞれ豊かに学べるような環境になってきています。デジタル端末の適切な活用は、子どもたちの言葉による思考・判断・表現を強力に支援します。学習のねらいと一人一人の状況に応じて、紙と鉛筆か、デジタル端末かなど、何を使ってどう学んでいくのかを、柔軟に選べるようになるといいですね。

タイトル画像提供:PIXTA

青山 由紀(あおやま・ゆき)

筑波大学附属小学校教諭

筑波大学附属小学校教諭。日本国語教育学会常任理事。全国国語授業研究会常任理事。著書に『「くちばし」「じどう車くらべ」「どうぶつの赤ちゃん」全時間・全板書』(東洋館出版社)、『こくごの図鑑』(小学館)などがある。光村図書小学校『国語』『書写』教科書編集委員。

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