みつむら web magazine

通常学級での特別支援教育 第45回

通常学級での特別支援教育

2020年5月8日 更新

川上 康則 東京都立矢口特別支援学校主任教諭

通常学級で特に気をつけたい特別支援教育のポイントを、新任・若手の先生方に向けて解説します。

川上康則(かわかみ・やすのり)

1974年、東京都生まれ。東京都立矢口特別支援学校主任教諭。公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザー。立教大学卒業、筑波大学大学院修了。肢体不自由、知的障害、自閉症、ADHDやLDなどの障害のある子に対する教育実践を積むとともに、地域の学校現場や保護者などからの「ちょっと気になる子」への相談支援にも携わる。著書に、『通常の学級の特別支援教育 ライブ講義 発達につまずきがある子どもの輝かせ方』(明治図書出版)、『こんなときどうする? ストーリーでわかる特別支援教育の実践』(学研プラス)など。

第45回 「教師でいる」ということ

学校に子どもたちがいない日々を過ごしながら

学校に子どもたちがいない日々を過ごすことは、教師にとっても大きな痛手です。
実践を積むことができません。指導のスキルを磨けません。
そして何よりも、子どもたちの笑顔をみることや明るい声を聞くことができません・・・。

今、職員室の雰囲気はどうでしょうか。
緊迫感や苛立ち、表現しがたい閉塞感、そしてオンライン授業などの新たな試みに対する戸惑いなど、マイナスな気持ちに支配されてはいないでしょうか。
そうした職員室の空気は、たとえオンラインを通してであったとしても子どもたちに伝わってしまうものです。

この事態であらためて、学校の存在意義が問われています。
「教師でいることをどう考えるか」や、教育の価値そのものが問われていると言ってもよいかもしれません。

危機に直面する今、世界中の先生たちへ私からのメッセージを送ります。

 

教師でいるということ

教師でいるということ。
それは、
心が折れるような経験を
たくさん経て成長するということ。
だから、
今日より明日を楽しみにできる人
ほど向いている。

教師でいるということ。
それは、
やるべきことが山積みなのに、
時間がほとんどないということ。
だから、
退屈な人生を送ることが苦手な人
ほど向いている。

教師でいるということ。
それは、
人の生き方の多様さを知り、
人が生きる意味を学ぶということ。
だから、
あらゆることに好奇心を示せる人
ほど向いている。

教師でいるということ。
それは、
人の人生に立ち入り、
変化をもたらすということ。
だから、
計り知れない責任を厭わない人
ほど向いている。

教師でいるということ。
それは、
突然の予期せぬ出来事においても、
教育の火を絶やさないということ。
だから、
思考し、世界観を更新し続けられる人
ほど向いている。

※この詩は、一般社団法人日本授業UD学会(理事長・桂聖)の毎週金曜日に配信されるメールマガジン「ハッピーフライデーニュース」(編集長・溝越勇太)に掲載されたものです。反響が非常に大きかったため、みつむらweb magazineで公開していただくことになりました。読者の皆様の心に希望を灯すことにつながればうれしい限りです。

次回は、なかなか友達ができない子について取り上げます。

Illustration: Jin Kitamura


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