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生活科

田中 千草

元 京都市立桂徳小学校校長

毎日楽しく,魅力ある学校の中心になるような生活科実践のヒントをお届けします。

田中千草(たなか・ちぐさ)

横浜市生まれ。京都市内の公立小学校に勤務し,平成4年に生活科が教科化されて以来,積極的に実践・研究を重ねる。近畿地区小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会会長などを歴任。令和2年度版光村図書「せいかつ」教科書編集委員。

第4回 子どもは遊びの天才

2020.03.25

図書館の研修室を会場に「工作教室」を開く機会がありました。

対象が幼児から小学校低学年と幅があり,図書館司書からの本(工作に関する児童書)を紹介する時間を含めて1時間ほどです。

簡単にできて,工夫することができ,ワクワク感が期待できるものは何がいいだろう。

「そうだ,輪ゴムと牛乳パックを使って『わゴムのぴょん』をつくろう。」

まずは,我が家にあった観葉植物のゴムの木,自転車屋さんからいただいた自転車のタイヤ等を持ち込んでゴムについての興味をもたせました。そしていよいよ制作です。牛乳パックと輪ゴムを配り,切れ込みの入れ方や輪ゴムのかけ方を演示しました。一番前の女の子3人は顔見知りではないようですが,さっそく作り始めると,出来上がった「ぴょん」を掛け声をかけて飛ばし,飛び比べを始めました。

牛乳パックの切れ込みの深さやゴムのかけ方によって,飛びあがる高さや飛ぶまでの時間が変わってきます。まさしく,遊んで試して工夫して,です。

2列目の男子児童は2年生のようです。しかし3人ともなかなか飛び上がりません。3人とも切れ込みを入れる方向を間違っていたようです。「こちらのほうを切って。」と声をかけると,「僕工作が苦手なんだ。」と一言。しかし,新しい牛乳パックで作り直すと見事に「ピョン」と飛びました。3人ともとてもうれしそうです。さらには,輪ゴムを二重にかけて試していました。ゴムの力が強すぎるとうまく飛ばなくなるのですが…ここで,工作が苦手と言っていた男の子が工夫しはじめたのです。

輪ゴムは魅力的なものであり,動くおもちゃづくりに最適なものだと感じました。

動くおもちゃをつくることはおもちゃづくりの単元では必要不可欠です。

以前「あそんで ためして くふうして」の授業を参観させていただく機会がありました。授業の中で何時間もペットボトルのキャップを飛ばして,一人で遊び続けている子どもがいました。

しかし,この単元は試して工夫しなければなりません。生活科は子どもの思いや願いをもとに単元をつくるのですが,ここは先生の出番が必要です。指導要領が改訂され,生活科の解説書にも『試行錯誤を繰り返しながら,遊び自体を工夫したり,遊びに使う物を工夫してつくったりして考えを巡らせること』とあります。そして,試行錯誤して何度も遊ぶ中で,「見付ける」「比べる」「たとえる」「試す」「見通す」「工夫する」などの学習活動をする必要があります。

私は授業後,教科書を参考にしてみてくださいとアドバイスしました。教科書の「あそんで ためして くふうして」のページでは「さあどうなるかな。」と紙コップのぴょんを飛ばして見せ,子どもたちが動くおもちゃに心を動かされるよう構成されています。その後,この先生は教科書を参考に動くおもちゃの基本形をつくり,提示しました。それをもとに子どもたちが様々な動くおもちゃをつくり「あそんで ためして くふうして」をしたと聞きました。

子どもの思いや願いを大切にしながら,気付きの質を高める単元計画を作成していかなければならないと実感した授業でした。

これからの生活科は,今まで以上に他教科との関連,中学年以降の教科との関連も考え,思考力,判断力,表現力等を育成するため,教育課程全体を視野に入れてデザインしていかなければならないと考えます。

Illustration: フジイイクコ