教科書クロニクル 小学校編
2023年6月29日 更新
光村図書出版
あなたが小学生・中学生だったころ、国語の教科書にはどんなお話が載っていたでしょう。「教科書クロニクル」で記憶をたどってみませんか。
教科書クロニクル 小学校編
2023年6月29日 更新
あなたが小学生・中学生だったころ、国語の教科書にはどんなお話が載っていたでしょう。「教科書クロニクル」で記憶をたどってみませんか。
椋 鳩十
大造じいさんが若い頃のお話です。冬、栗野岳のふもとの沼地には、たくさんのガンがやって来ます。猟師の大造じいさんは、ガンをしとめようと知恵を絞りますが、毎年、群れの頭領である残雪に見破られてしまいます。
ある年、おとりに使ったガンがハヤブサに襲われたとき、身を挺してそれを助けたのは残雪でした。その堂々とした態度に心打たれた大造じいさんは、残雪の手当てをして、次の春に空へと放したのです。「おうい、ガンの英雄よ。」「また堂々と戦おうじゃあないか。」そうよびかける大造じいさんの顔は、晴れ晴れとしていました。
杉 みき子
雪の降る夜、マサエがおばあちゃんから聞いたお話です。
昔、近くの村に住む娘がわらぐつを編んで朝市に並べました。不格好でしたが、履く人のために心を込めて娘が編んだわらぐつです。朝市のたびに若い大工さんが買ってくれました。「使う人の身になって、心をこめて作ったものには、神様が入っているのと同じこんだ。それを作った人も、神様とおんなじだ。」大工さんはそう言って、おまえが自分のところに来てくれたら、神様みたいに大事にする、と続けました。娘は大工さんのところへお嫁に行きました。娘は、マサエのおばあちゃんだったのです。