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小学校英語 指導と評価 第1回

小学校英語 指導と評価

2021年4月6日 更新

黒木 健 横浜市立斎藤分小学校長

小学校英語の評価について、先生方の悩みに寄り添いながら解説します。

黒木 健(くろき・けん)

横浜市立斎藤分小学校長。
上智大学文学部教育学科卒業。これまでに横浜市立洋光台第四小学校長、横浜市立矢部小学校長、横浜市立小山台小学校長、神奈川県小学校外国語活動研究会部会長、横浜市小学校外国語活動・外国語研究会副会長などを歴任。

第1回 現場教員の評価の悩み

評価を行う上での不安

「小学校外国語(英語)」が正式な教科としてスタートしてから、およそ1年が経過した。初年度、各校において、どのような児童の姿をもって設定した評価規準を達成した姿と解するのか、その中でも特に教員の頭を悩ませたのは、「主体的に学習に取り組む態度」をどう評価するかという点であったのではないだろうか。「知識・技能」、「思考・判断・表現」は、単元毎に評価しなければならないが、一方で「主体的に学習に取り組む態度」は、単元毎に評価を行わなければならないものでもなく、学期または年間を通じての評価とすることが望ましいとされており、子どもの学びの変容をより巨視的に捉える必要があるだろう。

そこで、実際に評価を行う上で、どのようなことで悩んだのかについて、現場教員にヒアリングをしてみたところ、およそ次のような感想をもっていることが分かった。

①パフォーマンステストを全員十分に見取ることの難しさ。

②一人ひとりの子どもと向き合い評価する時間の取り方。

③自校の評価基準(ルーブリック)と照らし合わせて、どのような子どもの姿を「A」「B」「C」の姿と捉えるべきなのか。

④それぞれの評価の観点を明確に分けられる訳ではないことから、子どもの能力をどの観点から見ていくべきなのか。

⑤自校の学校教育目標や子どもの実態をどう捉え、自校の評価規準を作成していくべきなのか。

⑥振り返りカードや行動観察を教員が主観的に捉えてしまってはいないか。

⑦「知識・技能」は、ペーパーテストやワークシートから、「思考・判断・表現」は、【やり取り】や【発表】などの中で自分の伝えたいことを伝えているかどうかといった観点から、そして「主体的に学習に取り組む態度」は、自らの学習を調整しようとする姿からといった単一的な評価方法だけで単純に捉えようとしてしまってはいないかなど。

どう評価するのか

では、それらの不安や懸念なども踏まえた上で、どう評価していくべきなのかを改めて整理してみることとしたい。本稿では、おもに③④⑦について具体例を挙げながら述べることとする。

小学校外国語においては、毎回の授業で5領域全てを評価する必要はなく、この単元、またこの授業では、この領域を評価といった具合に、どの領域をそこで評価するのか予め設定しておくことが望ましい。例えば、ある単元で「話すこと(発表)」、「書くこと」を評価規準としている場合で、本単元においては「聞くこと」についても目標に向けての指導は行うものの、記録に残す評価は行わないということもあり得るといった認識をもつことも必要である。

また観点別学習状況、つまり「A:十分に満足できる」状況と判断されるもの、「B:概ね満足できる」状況と判断されるもの、「C:努力を要する」状況と判断されるものの内容については、各校での子どもの実態を踏まえた上で設定がなされなければならない。また、評価規準を達成したものが「B」評価となる訳であるが、どういう指導をして、その結果、子どもがどういう姿になったら評価規準をクリアしたことになるのか、それらについては、予め学年内でしっかりと決めておくことが求められる。
以下に示したものは、資質・能力別の評価例(5・6年生 話すこと「やり取り」を例に)である。合わせて参考にして欲しい。

「知識・技能」の評価規準

使用する言語材料の提示がない状況において、それらを用いて自分の考えや気持ちなどを伝え合う技能を身に付けている状況を評価する。

「思考・判断・表現」の評価規準

「正確さ」は、英語使用を繰り返す途中で徐々に高まっていくことを十分に踏まえ、発音の不正確さなどに惑わされることなく発話「内容」から判断する。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価規準

言語活動への取組に関して、見通しを立てたり振り返ったりして自らの学習を自覚的に捉えている状況については、特定の領域・単元だけではなく年間を通じて評価するなど。

いつ評価するのか

小学校での外国語の学びは「音声中心」であることから、インプットを多く経験させてからアウトプットへつなげていくという流れ、つまり「聞く」活動を多く行った上で「話す」活動へと移行していくという流れは、今後も大きくは変わらないだろう。また、「読む」、「書く」については、音声で十分に慣れ親しんだ語句や表現を「読む」、「書く」のであって、いきなり「読ませる」「書かせる」という活動は、小学校の授業では想定していない。また、子ども一人ひとりの言語活動の記録(評価)を残す場面を精選することで、そこから教員の指導改善にもつなげていかなければならない。そして「主体的に学習に取り組む態度」は、①粘り強い取組を行おうとする側面、②自らの学習を調整しようとする側面を両方ともしっかり観察することが重要である。子どもが言語活動に取り組む中で、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」の資質・能力は、それらを一体的に学んでいく過程を通して育成されるものであることを鑑み、一定の学習を経た後、単元終末や学期末などに評価することが求められるだろう。

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何のための評価なのか

改めて述べるまでもないが、評価は成績を出すためだけに行われるものではない。評価の本来的な目的は、評価をすることによって子どもの資質・能力を伸ばし、且つ子どもの学習改善につながるものにしていくことにある。そのためには、形成的評価を充実させ、子どもの資質・能力を育成し、その育成した姿を評価していくことに力点が置かれなければならない。また個人内評価を充実させることで、その中で一人ひとりの高まった姿を評価し、且つそれを教員の指導改善につなげるものとしていくことが重要である。

【参考資料】
「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料 国立教育政策研究所 2020年
「横浜市立学校カリキュラム・マネジメント要領 学習評価編」横浜市教育委員会 2019年
「令和2年度教育課程研究委員会研究協議会の代替となる資料」横浜市教育委員会 2020年

Illustration: 福々 ちえ

次回は、ルーブリックの具体例をご紹介します。


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