
美術の授業お悩み相談室
2020年1月23日 更新
上野 行一 元高知大学大学院教授
授業のお悩み、一人で抱え込んではいませんか? 美術教育の専門家、上野先生が温かく受け止めます。
第3回 どう評価したらよいか迷います。
A 完成作品だけでなく、生徒の活動を通した学びを見る姿勢が大切です。
作品から生徒の学習状況を評価することは大切なことですが、生徒の学習過程と作品を切り離し、作品の出来ばえだけで評価しないよう、気をつけたいですね。
作品の評価を適正に行うには、学習の実施状況を目標に照らした観点ごとの評価規準を設定し、それに基づいて評価することが求められます。
作品以外から生徒の学習状況を把握し評価することは、作品の評価と同じくらい大切です。どのような方法で、生徒の学習状況を見取ったらよいのか、具体例を挙げてみましょう。
- ワークシートに学習の振り返りを書かせます。漠然と感想を尋ねるのではなく、〔共通事項〕に関連づけて形や色、イメージなどを観点にした質問を用意しましょう。
- 作品を展示してお互いの作品を鑑賞しあい、よいと思った所を付箋に書いて、貼らせます。
- 小グループで互いに作品のプレゼンテーションをし、結果をまとめさせます。
- 生徒が普段から関心をもっていることのメモやスケッチ、課題のアイデアスケッチ、制作の振り返り、制作途中の写真などをノートやスケッチブックに蓄積させます。
2月上旬公開予定の第4回は、「『表現』と『鑑賞』を関連づける、とは?」という質問にお答えします。
Illustration: 北村人
上野 行一(うえの・こういち)
「美術による学び研究会」会長。高知大学大学院教育学研究科教授、帝京科学大学教授を務める。『私の中の自由な美術』、『風神雷神はなぜ笑っているのか』(光村図書)など著書多数。NHK高校講座「芸術(美術Ⅰ)」を監修。光村図書中学校「美術」教科書の著作者でもある。