道徳キーワード
2016年11月30日 更新
学習指導要領の中から、ぜひ知っておきたい「キーワード」を取り上げます。長年にわたり道徳教育をリードしてきた6人の先生が、リレー形式で解説します。
解説:尾崎 正美(瀬戸内市立国府小学校教諭)
道徳科で求められる「考える」「議論する」とは
道徳が教科化されるにあたり、「考える」「議論する」というキーワードに注目が集まっています。では、道徳科における「考える」「議論する」とは、どのようなことなのでしょうか。
「小・中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」では、道徳教育において、「よりよく生きるために道徳的価値に向き合い、いかに生きるべきかを自ら考え続ける姿勢」を育成することが求められています。そして、道徳科では、授業の中で、次の4点を行うことによって、質的転換を図ることが求められています。
以上のことから、「考え、議論する道徳」とは、子どもが常に自己の生き方を見つめながら、みんなで多様な視点から話し合い、語り合うことを通して自己のよりよい生き方を考えていく学習なのだといえるでしょう。
「考え、議論する道徳」授業の実現のためには
そのような授業の実現のため、私は道徳の授業で子どもが自分自身の生き方を常に見つめていくことを特に大事にしています。導入では、普段の自分の考えや言動について振り返り、「どうしてずるい心が出てしまうのだろう」とか「命を大切にするとはどういうことだろう」などのように、自己の生き方(考えや言動)について一人一人が課題意識をもつようにしています。そのうえで教材に出会い、教材の登場人物の生き方について「どうしてそう(道徳的行為を)できたのかな」と疑問を感じたり「自分もそういう思いをしたことがあるな」と共感したりしながら、みんなでよりよい生き方について話し合い、自分の思いを語り合って、自己の生き方についての課題の答えを探していくことを心がけています。つまり、教材の登場人物の考えや言動について話し合っているときも、友達の思いや考えを聞いているときも、子どもの意識は常に自己の生き方の上にあるのです。
このように子どもが自己の生き方を見つめ、よりよく生きたいという願いをもって登場人物や友達の考えや言動にふれて考えていくことが、「考え、議論する道徳」の学習において大切にされるべきであると考えます。
キーワードまとめ 「考え、議論する道徳」とは
子どもが常に自己の生き方を見つめながら、みんなで多様な視点から話し合い、語り合うことを通して自己のよりよい生き方を考えていくことを重視した学習。
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