
書写の用具研究
2017年1月19日 更新
編集部 光村図書出版
書写の用具を一つ取り上げ、書写用具店の方にお話を伺うコーナーです。
第2回 筆ができるまで
第1回で伺った書道用具専門店・清雅堂では、愛知県豊橋市で製造された筆を取り扱っています。豊橋筆の起源は江戸時代後期にさかのぼり、その品質の高さや書き味のよさから、今日に至るまで、多くの愛用者を生み続けています。
今回は、豊橋筆ができるまでの主な工程をご紹介します。
1. 毛を選別し、整える
原毛(げんもう)を選別し、強くもんで毛の脂分を取り除いた後、毛先をそろえたら、毛先の悪い毛を1本1本除いていく。毛が絡み合ったり折れ曲がったりしないよう金櫛(かなぐし)ですき、ガラス板の上で整える。
2. 毛の長さを整え、混ぜ合わせる
円錐形の穂先をつくるには、異なる長さの毛を均一に混ぜ合わせる必要がある。毛の根元を、決められた寸法ごとに切り落としたうえで、ガラス板の上に並べて、丹念に混ぜ合わせることを繰り返す。
3. 毛をまとめて穂の形にする
よく混ぜ合わせて均一にした毛を、型に合わせて形を整え、ふのりを染み込ませて、穂の芯となる芯毛(しんげ)をつくる。天日乾燥の後、芯毛の回りに、艶のある美しい化粧毛を巻き付ける。
4. 穂の根元を固める
乾燥させた穂の根元に麻糸を巻き、尻の部分をコテで焼いて、ばらばらの毛を一つにする。その後、毛の部分に櫛を通して、ふのりやほこりなどを払い落としてきれいにし、穂を完成させる。
5. 穂を軸に接着し、仕上げる
竹でつくった軸に穴を開け、接着剤を付けて穂を差し込む。穂は、しっかりと軸に固定させた後、乾燥させる。最後に、穂全体に芯までしっかりふのりを含ませ、穂の形をきれいに整えて仕上げる。