
読書Q&A 学校図書館(実技編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
学校図書館に必要なものは何か、どうやって作ればよいのか、壊れた本をどうやって修理すればよいのかなど、実際の写真を示しながらご紹介します。
本の補修・修理について
学校で使う本は、現役・最先端でなければなりません。データが変わったものは買い換えなければならないし、人気商品も、人気がなくなれば必要ではなくなります。そうして、もう使わなくなったものは修理する必要はないでしょう。
したがって学校図書館の本で補修の必要のあるものは、
1)今、人気もしくは必要があるもの
2)あとしばらくは使えるもの
ということになります。
1)その本の製本のされかた(どうやって作られているか)
によって決まります。
学校図書館にある本は、その学校の郷土資料以外は百年後に残らなくていいでしょう。
それは公共図書館の仕事ですから。では、どういう本が学校にあり、どんな補強や補修が必要かを考えてみると、
1)ダンボールブック(ページとページが貼り合わせてある分厚いもの)
…これは貼り合わせるしかありません。
2)真ん中ホッチキス止めタイプ
…これは破れたページを貼り直して、大きなホッチキスで止めればOK。
3)背がのりで止めてあるだけの無線綴じタイプ。
安くておもしろいペーパーバックやコミックによくあるやりかたです。
これは絶対直したい!
4)どのページもきれいに平らに開くようになっている絵本タイプ。
代表『ミッケ』…これは直したい! 大人気ですぐ壊れます。
5)丸背、布入りのタイプ。
『ゾロリ』や図鑑、これも直したい!
つまり結局、
- 無線綴じタイプ
- 『ミッケ』タイプ
- 『ゾロリ』タイプ
の三種類を補強・修理できるようになればなんとかなる! わけです。
というわけで、まず無線綴じのタイプの本に、穴を開けて糸で綴じ、のりつきビニールブックカバーの掛け方をご紹介します。この“穴開け”“糸綴じ”“のりつきビニールブックカバー(通称ブッカー)かけ”は目の前でやってみせればわずか10分ほどのものです。だれでもでき、そうして本は壊れなくなります(よほどのことがない限り!)。
でも実技をコトバにするのって難しいね! 『ミッケ』の修理のしかたを、もし紙やネットで表現するとしたら、よっぽど考えなくちゃなりません。ていうか無理……。目の前でやって見せても結構大変だから。このやりかたを覚えれば絵本の修理が一冊30分程でできるようになりますが、『ミッケ』の修理は最初に覚えるときには半日かかり(5時間くらい)、製本キットも買わないとできないので、『ミッケ』は当分ネットではなく、実際の修理教室でやることにします。『ゾロリ』の直しかたはまたいずれ告知します。
目次
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。
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