みつむら web magazine

のりつきビニールブックカバーのかけかた

本の補修・修理について

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

学校図書館に必要なものは何か、どうやって作ればよいのか、壊れた本をどうやって修理すればよいのかなど、実際の写真を示しながらご紹介します。

国立国会図書館などでは、本の表紙カバーを外して保管していますが、例えば『ハリー・ポッター』は表紙カバーを外すと真っ白ですから、読みたい! という気がしなくなるし、探すことも難しくなります。特に日本人は本をひとつのアートとみなし、表紙カバーにこの本はどういう本でだれのための本なのか、という情報を入れて美しく仕上げるので、カバーを外すとそれらが一切失われてしまいます。

 ですから、学校図書館に本を入れるときに、表紙カバーの上からのりつきビニールブックカバーをつけることは、本を丈夫にすると同時に、本の情報とデザインも保護することになるのです。面倒ではありますが、新しく入ってきた本にこのカバーをかけるのは、本の好きな人間にとってはわくわくと心踊る作業でもあります。これをすることで子どもたちがより一層本を読んでくれ、何倍も本が長持ちするのですから……、かけましょうよ、みなさん!

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本のサイズにあわせてカバーを切ります。

このときには刃先を黒くコーティングしてある、のり用のハサミを使います。市販のものでもいいんですが、すぐベタついて使いづらくなるので、専用のハサミ(通称ブッカーはさみ)を使うと、肩がこらずにすみます。全体をくるむようにサイズを測ったら、だいたい台紙のひとマスくらいスペースをとれば充分なので、ひとマス分大きくカットします。切り端はシールカバーなどに使います。このビニールカバーはサイズがいろいろあるので、同じサイズの本にたくさんかけるなら、はじめからA4サイズのもの、とか新書版サイズのもの、などを買えばその分ラクです。

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写真2

角のところを折り、三角にビニールカバーを外し、ひとマス分くらいあけて、角のところだけ最初に貼ります。台紙に線が描いてあるので、この線に本のフチを合わせるとまっすぐに貼れます。

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写真3

​下の台紙を少しずつ引っ張りながら、もう片方の手で少しずつこすって貼っていきます。あせらないでゆっくりかけてください。うっかり空気が入るとボコボコになってしまいます。手でやる人も、タオルハンカチを使う人もいます。専用の定規(通称ブッカー定規)を使うとラクです。

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写真4

表紙をかけおわったら、背→裏の順番で貼っていきます。

あせらずゆっくりね。慣れれば早くできるようになりますから。

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写真5

 全部かけたらいったん表紙を外します。

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すみは5ミリほど残しながら三角にカットします。背の部分は斜めに切っておきます。

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写真7

つまりこの図のようになります。

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写真8

背の部分は先に折りこみます。こうすると、背のフチが強くなります。

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表紙カバーをもとにもどし

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写真10

表紙が浮かないように指で押さえながら両方の人差指で、すっとなかに折りこみます。上下のフチも同じように折り込みます。

このときに表紙を押さえておかないと、かけたあと突っ張ってしまって本が閉じられなくなったりするのでご用心。でもそうなったらカッターで一度フチのところを切り、もう一度フチだけかければいいのです。

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写真11-2

完成です。

こののりつきビニールブックカバーのかけかたはいろいろあり、人によってやりかたが違いますが、きれいにかけられればどうやってもかまいません。このすみを三角にあけるやりかたは初心者用で、なかでも一番簡単なやりかたです。他のやりかたを教わって、難しかった方はこのやりかたでやってみてください。Good Luck!

 

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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