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Q26. 着任したばかりの学校図書館では、まず初めにどんなことから手をつけたらよいのでしょうか。

読書Q&A 学校図書館(理論編)

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。

A(回答)

学校図書館のどこから手をつけたらいいか、というのなら、まずは大掃除です。
本棚から本を全部出して、棚をすみからすみまで拭いて(横もてっぺんも、です)本も拭いて、もう一度しまいます。そのときに、壊れてる本、もういらない本は、抜いてしまいます。
帳簿上、廃棄できなくても、とりあえず見えない所に片づけておき、実際の廃棄作業は夏休みにやるとします。まずは、倉庫状態から脱出して、(まあ、新商品が少ないのでピカピカの開店したばかりの店にはできませんが)ちゃんと営業してますよ~レベルの喫茶店、もしくは雑貨屋さん、をつくってください(本屋さん、と言えないのが悲しい)。

廃棄の基準は、それぞれの学校図書館で事情が違うので一概に言えないのですが、まず「戦争の本と核の本」と、その学校の「郷土資料」はとっておいてください。これは永久別置(べっち、と言います。図書館の専門用語、というか業界用語で、未来永劫、据え置き、のブックフェアのこと)です。

図書館に限らず学術機関(博物館などのことです)はすべて兄弟のようなもので、お互いに、わたしはここからここまでね、というように分担して資料の収集をしています。たとえ自分が持っていなくても、誰かが持ってくれている……だから安心して集めないでいられるのです。
ですから、ある小学校の文集のような郷土資料はたとえ国会図書館でも持っていない……普通はー。どこかからそのような郷土資料に関する問い合わせがくれば、国会図書館でも最終的にはそこの小学校に聞いてくるでしょう。ですから、郷土資料に関してはその学校しか持っていないわけですから、捨てられては困るのです。

そのためにも、できれば書庫が欲しいのです。
書庫はゴミを置いておく場所ではなく、資料室でなくてはまずいです。
なにも専用の部屋でなくてもいい……ほかのものと共有でもいいから、壁一列に古い本棚を並べて書庫にしてください。
そうしてそこに、捨てられないけど、お店に置くのはどうかなあ、という商品を並べてください。
図書室のスペースが少なければ、そこに別置のものを並べておいてもかまいません。
そうやって整理して、まずは少し身軽になってください。

もし、「コンピュータ貸し出し」を始めて、本をバーコード化するのなら、使わない本にお金をかけるのはもったいないです。
使う本にだけバーコードを貼ってください。

本の整理と同時に、図書室にある、張り紙(ポスターなど)も取ってください。
紙というのは劣化が早いのです。
3年もたてば普通はみすぼらしくなります。

ここまでできたら、次は図書館の飾りつけです。
飾りつけに模造紙を使ってる場合はどんなに頑張ってもきれいには見えません。
メーター300円の生地でパーティ用のドレスを作るには才能が必要です(できないわけではありませんが)。そこまで腕がないのなら、高い生地を買って作れば一応は見られるものになります。
ですから、ミューズコットンやマーメイドといった、ちょっと高い紙を使ってください。
それから、折り紙用の紙を使った場合もかっこよくはなりません。
折り紙で飾りつけするのなら、折り紙用の紙ではなく、もっといい紙を使ってください。
それから、飾りつけをするときには、6年の男子が居心地悪くならないように、が基準です。幼稚園飾りの部屋に高学年の特に男子はいたくないのです。飾りつけは、“ここはあなたの部屋なんですよ”ということをアッピールするためにやるのです。
飾りつけする人間が満足するだけではいけません。
飾りは、男の子基準!でお願いします。

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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