読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
幼稚園の図書の貸し出しの場合、子どもだけで借りるのではないですよね?
コンピュータが使えれば簡単ですが、そうでないのであれば、子ども一人ひとりの貸し出しカードを作って、そこに借りる本の題名と、借りる日付け(これは日付けが変えられるはんこを売ってますのでそれを使ってください。)を押すだけ、がいちばん簡単なやり方です。
本の番号を記入する必要はありません。
数字はなるべく使わないほうが楽なんです。
誰が何を借りて、返したかどうかがわかればいいんです。
カードにはもう一つ、「返した日」という欄を作っておいて、返したら、丸をつければオッケーです。
小・中学校での「貸し出し方法」について、もっとも重要なことは、誰が何を借りているか、お客さま(つまり子どもたち)に見えないようにする、ということです。
誰が何を借りているかわかってしまう、ということは個人情報漏洩で、正直言って、小学生はあまり気にしないのですが、司書は気にしなきゃいけません。自分のプライバシーは自分で守らなきゃいけない、ということを図書館は教える立場なんです。自分から漏洩してはいけません。
コンピュータが入り、バーコード化されている場合、生徒の個人番号を作りますね。学校によってですが、(人数が少ないなど)一人に1枚ずつちゃんと貸し出しカードを持たせられるなら持たせたほうがいいでしょう。そういうシステムに慣れてもらうのも学校図書館の仕事でしょう。
でも、カード紛失多数でやってらんないわというところなら、カードはカウンターで預かってしまいます。でもこのやり方は専任の司書がいないと大変かもしれません。
図書委員会だけで貸し出し返却を担当している場合は、バーコードをクラスごとにA4用紙1枚に印刷しておいて、その紙を1つのファイルにまとめておき、貸し出しのときに使うと便利です。
これなら無くなりませんから。
バーコード化されてない学校は、借りた本の名前と日付、返却日を書けるようにした個人カードを作ります。むきだしではなく、三つ折りにすると、中身が見えなくていいですよ。
今では、本のほうにカードを入れておき、借りた人の名前を書き込むやり方は時代遅れになりました。情報漏洩ですから。
今でもこの方式をやっているのでしたら、やめたほうがいいでしょう。
※中学校での「貸し出し方法」については、理論編Q21でも取り上げています。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。