読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
「学校図書館をどう作るか」は、どのくらいの人数の学校かでも変わってきます。1000人超すような学校なら、教室三つ分のサイズの部屋が一つか、それができなければ部屋を二つにせざるをえないでしょう。でも担当者が学校中かけずりまわるのは大変だから、近い方がいいよね?階が違うのは足と腰にこたえます。できれば、コンピュータ室も隣りにあるのがいいはずなのに、どういうわけだか、小学校って違う階の学校が多いようです。
もし、図書館をどうしても二つにしなければならないのなら、一つは“エンターテイメント”、もう一つは“レファレンス”にします。そうして、エンターテイメントには、絵本、文学、芸術・スポーツ、それと自然科学を入れます。 (自然科学の分類については、理論編Q9、10、11、12参照)
自然科学だけで、五段書架7本は最低欲しいので、それだけ確保できないのであれば、48(よんはち)の生き物だけでも、エンターテイメントの部屋にもってきます。生き物で3本です。高段、A4が入るサイズ、四段か五段の書架が理想。そこは小学校4年生までの棚だからです。
くれぐれも“絵本の部屋”とか“低学年の部屋”とかは作らないでくださいね(理論編Q17参照)。一つの部屋でやるにしろ、二つでやるにしろ、エンタテイメントの部屋に二クラスを収容できるようにするには、絨毯をひくのがおすすめです。一クラスが読書しているあいだに、もう一クラスが調べものができるようにね。低学年なら、絨毯で一クラス収容できるし、そこで、読み聞かせもできます。
居心地のいい空間をつくるためには、“これ以上家具は入れられない”という上限が絶対にあります。模造紙が乗せられるような大きな机は、たいてい6台でいっぱいいっぱいです。椅子だけは40脚(一クラスの人数分)確保します。特にエンターテイメントの部屋ならば、ほとんど机はいらないと思います。もし入れるのなら、小さい机をたくさん入れたほうがいいです。というのは、男子は絨毯の上で、ピラミッドのように塊になるのが好きですが、女子はいいとこ三人組……たいていは二人組です。だから小さい机をたくさん用意しておいたほうがいいのです。色はベネトンカラー、メイシーちゃん、うさこちゃんの色が日本の学校には似合います。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。
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