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書写の用具研究 第4回

書写の用具研究

2017年9月28日 更新

編集部 光村図書出版

書写の用具を一つ取り上げ、書写用具店の方にお話を伺うコーナーです。

第4回 墨ができるまで ~固形墨編~

今回は固形墨ができるまでの主な工程をご紹介します。

第3回でご紹介した墨のメーカー・墨運堂では、墨の製造期間中に工場見学を受け付けています(要予約)。実際に墨づくりの現場を見ることで、さらに墨への理解が深まることでしょう。

1. 煤を採取する(採煙)

素焼きの器に植物性油を入れ、灯芯を燃やし、蓋に付いた煤を採取する。

画像、墨ができるまで

 

2. 煤と膠を混ぜて練る

膠を長時間煮て液体にし、液状になった膠と煤を「混和機」という機械にかけて練り合わせる。その後、職人が混和機から取り出し、さらに手で練って、香料を加える。

画像、墨ができるまで

 

3. 型に入れる

墨を入れる木型は四つほどのパーツに分かれている。そのパーツを組んで、練った墨を型に入れる。繊細で緻密な作業のため、職人の腕が試される。その後、プレスし、墨の形にする。

画像、墨ができるまで

 

4. 乾燥させる

木型から取り出した墨は、1日目は水分の多い木灰に埋め、2日目以降は少しずつ水分の少ない木灰に埋めてゆっくりと乾燥させる。灰の乾燥が終わったら、無風の室内で1~2か月乾燥させる。

画像、墨ができるまで

 

5. 彩色・包装

乾燥したら水洗いし、墨の表面を磨く。再び乾燥させ、その後、金粉・銀粉などで一つずつ彩色していく。紙で包み箱に入れて完成。小さな墨でも型入れから包装まで最低3か月はかかる。

画像、墨ができるまで

次回は、硯について取り上げます。

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