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第12回 読書指導――学校図書館と連携して読書に誘う(2)

そがべ先生の国語教室

2016年3月1日 更新

宗我部 義則 お茶の水女子大学附属中学校副校長

30年の教師生活で培った豊富な実践例をもとに、明日の国語教室に役立つ授業アイデアをご紹介します。

第12回 読書指導
――学校図書館と連携して読書に誘う(2)

第11回で、読書活動には、「(1) 読書への関心を広げ、読書生活を活性化する活動」と「(2) 課題を解決したり探究したりする意欲と力を高めていく活動」という二つの大きな柱があると述べ、(1)の活動として、ポップ作りやブックトークの実践をご紹介しました。

第11回 読書指導――学校図書館と連携して読書に誘う(1)

今回は、(2)の活動についてです。(2)の「調べ学習での図書資料活用・情報活用」は、読解の授業などと関連づけて行うのが効果的です。
例えば、「五重の塔はなぜ倒れないか」(2年)の学習では、「地震でも倒れない五重の塔のヒミツを紹介するリーフレットを作る」という課題に取り組ませましたが、この途中で、「五重の塔の建築」「耐震・免震構造」「宮大工」「スカイツリーの構造」などのキーワードで、司書の先生に集めていただいた関連図書を使って、調べ学習や並行読書を取り入れながら展開しました。

そして、完成したリーフレットを、これらの関連図書と一緒に図書館に展示していただきました。お互いのリーフレットを読み合っただけでなく、 3年生や1年生が見に来てリーフレットを手に取ったり、関連図書を借りて読んだりする姿も見られました。

画像、学校図書館の様子
「君は『最後の晩餐』を知っているか」の学習時期に、
司書の先生に作ってもらった図書館の特設コーナー。

こうした学習を構想する際には、少なくとも1か月くらい前から司書の先生と相談するとよいでしょう。調べ学習などで使う本は、何冊かは学校図書館にもあるでしょうが、なかなかたくさんは用意できませんね。司書の先生の協力を仰ぎ、特設コーナーを作っていただく。それによって、図書館も活性化していきます。

もちろん、こうした連携は、調べ学習のときだけでなく、日常的に、例えば、「君は『最後の晩餐』を知っているか」(2年)の授業をする場合に、「レオナルド・ダ・ヴィンチや『最後の晩餐』に関するコーナーを作ってください」みたいに行っていくとさらによいですね。
さて、今回は読書指導について書いてみましたが、考えてみると、私たちが何かをするときに、同好の士=一緒に楽しむ仲間がいると、ますます夢中になっていくものですよね。私は今、マウンテンバイクや写真の趣味をもっていますが、それも仲間がいればこそです。読書も同じかもしれませんね。言ってみれば、学校の中に、読書する仲間の輪が作られていくことで、本を読む気運も高まり、楽しんで次々に本を手に取る生活が広がっていくように思います。

例えばどの学校にもあるだろう図書委員会などは、その核として最適かもしれませんね。
私の勤務校では、図書委員の生徒たちが司書の先生や委員会担当の先生の指導のもとで、のびのびと活動しています。実はこの原稿をまとめている今日も、バイオリンを弾ける生徒が図書館で演奏し、その合間に図書委員がお薦めの本を紹介するというイベントが行われました。素敵なアイデアだなあと思いました。
図書委員になるくらいですから本を読むのも大好きな生徒たちです。そんな生徒たちを、学校全体で育てる読書コミュニティの核として育てていくこと。これがボトムアップのための読書指導の近道なのかもしれないなあと気づきました。

次回は、授業開きの際に行う「小ネタ」をご紹介します。

宗我部義則(そがべ・よしのり)

1962年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学附属中学校主幹教諭。お茶の水女子大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師。平成20年告示中学校学習指導要領解説国語編作成協力者。編著書に『群読の発表指導・細案』(明治図書出版)、『夢中・熱中・集中…そして感動 柏市立中原小学校の挑戦!』(東洋館出版社)、『中学校国語科新授業モデル 話すこと・聞くこと編』(明治図書出版)など。光村図書中学校『国語』教科書編集委員を務める。

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