そがべ先生の国語教室
2016年4月4日 更新
宗我部 義則 お茶の水女子大学附属中学校副校長
30年の教師生活で培った豊富な実践例をもとに、明日の国語教室に役立つ授業アイデアをご紹介します。
第13回 国語学習 三つの誓い
新年度が始まりました。生徒たちもきっとワクワクして新鮮な気持ちになっていると思いますが、私たち教員にとっても何だか心弾む季節ですね。
さて、今回は、授業開きの小ネタになります。
国語の授業開きには、先生方もいろいろな工夫をされていると思います。第1・2回では、いつも授業開きで生徒たちに話すこととして、「響く声を育てること」「ノートづくりの指導」を紹介しました(詳しくは下記のリンク先をご参照ください)。
実は前回は触れませんでしたが、「ノートづくりの指導」の中で、「三つの誓い」というページをつくらせています。右のノートをご覧ください。
この生徒(Aさん)の場合、
- 考えメモを大切に!
- 相手に伝える!
- 学習のまとめを大事に!
という三つの誓いを書いています。
このように「三つの誓い」では、自分が日々の国語の授業の中で努力して実行することを、
(私は国語の授業で)…………します!
と宣誓する形で三つ、簡潔に書き出し、それぞれについて、詳しく補足させます。(内容)がその補足説明です。Aさんは、(内容)と書きましたが、(説明)でも良いし、そうしたタグは付けずに、いきなり本文でも構いません。
その「誓い」は具体的にはどうすることか。
なぜ、何のためにそれを実行するのか。
などを書くのです。
このページは表紙のすぐ次の1ページ目。つまり、この「三つの誓い」が国語ノートの「扉」の役目を果たすのです。ですから、生徒たちには「できるだけ丁寧に、目立つように仕上げなさい」と指示します。
こういうページをつくると、生徒たちは何かの折にこの誓いを見直し、意識し直すことになります。
書かせていくうえで、私は「目標」ではなく、「誓い=意識して実行すること」を書かせています。
説明するときにも、
例えば、『国語の成績を上げる』は誓いではなく「目標」です。そのために何をするのか、どんなことを毎回の授業で意識して取り組むのかを、「(私は)……します」の形で言葉にしてみましょう。
と話します。そのためには、いきなり「三つの誓い」を考えよ、と課題を出すより、まず国語の授業で大切にしてほしいことや、どんな取り組み方をすると言葉の力を伸ばせるのかなどを話したうえで取り組ませることが大切です。
ご参考までに、授業開きのときのAさんのノートがこちらです。
ちなみに、私の勤務校では、国語の学習ノートは、全員に同じ物を使わせています。縦罫のノートで、1・2年生は17行。3年生は19行のノートです。ノートを揃えると、指導しやすく、また評価もしやすいのでお薦めです。
次回から、デジタル教科書を使った実践をご紹介します。
宗我部義則(そがべ・よしのり)
1962年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学附属中学校主幹教諭。お茶の水女子大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師。平成20年告示中学校学習指導要領解説国語編作成協力者。編著書に『群読の発表指導・細案』(明治図書出版)、『夢中・熱中・集中…そして感動 柏市立中原小学校の挑戦!』(東洋館出版社)、『中学校国語科新授業モデル 話すこと・聞くこと編』(明治図書出版)など。光村図書中学校『国語』教科書編集委員を務める。