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第17回 デジタル教科書で読みを深める(4)――全文表示画面を使って

そがべ先生の国語教室

2016年9月28日 更新

宗我部 義則 お茶の水女子大学附属中学校副校長

30年の教師生活で培った豊富な実践例をもとに、明日の国語教室に役立つ授業アイデアをご紹介します。

第17回 デジタル教科書で読みを深める(4)
――全文表示画面を使って

前回に続き、デジタル教科書を授業の中でどう活用していくかご紹介していきます。

第14回 デジタル教科書で読みを深める(1)――黒板ツールを使って

第15回 デジタル教科書で読みを深める(2)――黒板ツールを使って

第16回 デジタル教科書で読みを深める(3)――人物相関図を作る

全文表示画面を活用して

これまで、デジタル教科書のコンテンツをいくつかご紹介してきましたが、他にもさまざまなコンテンツがあり、中には一瞬「え?なんの役に立つの?」と思われるものがあります。その一つが、「全文表示」の画面です。教材全文を一画面で表示できるというものです(図5)。

画像、デジタル教科書の画面
(図5)「君は『最後の晩餐』を知っているか」(2年)を全文表示した画面

この画面を見たとき、「文字が小さすぎて生徒には読めない」と思いませんでしたか?
まさに、全文表示でスクリーンに映し出しても、ほとんど読めません。

でも発想を変えてみましょう。
例えば、「君は『最後の晩餐』を知っているか」(2年)の中で、キーワードとなる「かっこいい」という言葉がどこに出てくるか、ラインマーカーで色を付けたり、絵のお話の説明はどこに書かれていて、絵画の科学に関する具体的な解説がどこに書かれていて……というふうに色を付けたりしていったのが図6です。同じ全文プリントを手元にもっていたら、スクリーンを見ながらプリントのその部分を見て、「かっこいい」という言葉を塗ったり、絵画の科学の解説が書かれている部分を枠で囲んだり、という作業ができます。むしろ、全文が目に見えていることで、文章の組み立てや展開が見渡せるようになります。

画像、デジタル教科書の画面
(図6)

中学生になったら、部分ごとに読んでいくだけでなく、文章全体の構造を頭にいれた検討が必要になることもあります。私はよくA3判の用紙に文章全体を一望にできるプリントを作って検討させますが、それが資料として添えられているのはありがたいことだなと思います。(全文表示画面は、PDFでも収録しています。)

デジタル教科書は使い方・生かし方を工夫して、私たちが育てる

要は、デジタル教科書も「教材」や「資料」あるいは、「道具」の一つですから、それをどう生かすと効果的かということを使い手が工夫していくことで効果が高まると言えるでしょう。

そして、現場で使い込んでいきながら、こんな機能があるとよい、この資料がこんな仕組みだったらもっと便利だ……という声を、生徒たちから、先生方から、ソフトウェア制作の人たちに届けていくことです。それによってもっと学習効果が高いデジタル教科書になっていくのではないでしょうか。

次回は、「平家物語」の実践をご紹介します。

宗我部義則(そがべ・よしのり)

1962年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学附属中学校主幹教諭。お茶の水女子大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師。平成20年告示中学校学習指導要領解説国語編作成協力者。編著書に『群読の発表指導・細案』(明治図書出版)、『夢中・熱中・集中…そして感動 柏市立中原小学校の挑戦!』(東洋館出版社)、『中学校国語科新授業モデル 話すこと・聞くこと編』(明治図書出版)など。光村図書中学校『国語』教科書編集委員を務める。

※今回ご紹介したのは、平成28年度版 指導者用 光村「国語デジタル教科書」です。デジタル教科書・教材については下記よりご覧ください。

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