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子どもの心を耕す外国語活動 第4回

子どもの心を耕す外国語活動

2016年8月9日 更新

加賀田 哲也 大阪教育大学教授

「かかわり合い、伝え合い、つながり合う」ことを目ざした、小学校英語の実践をご紹介します。

加賀田哲也(かがた・てつや)

1965年福岡県生まれ。大阪教育大学教育学部教授。米国シアトルの州立ワシントン大学(理論言語学)および大学院(教育心理学)を修了後、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程後期修了。博士(人間科学)。大学で教員養成に携わる他、小学校、中学校、高等学校などで英語授業改善のための指導や教員研修に当たっている。光村図書中学校英語教科書『COLUMBUS 21』編集委員を務める。

第4回 I Am Special! (2)

今回は、前回の「I Am Special! (1)」の続きとなります。前回は、友達の「性格」について褒めたり、友達から指摘された自分の「性格」を受け入れることで自分や他者に対する理解を深め、大切にする気持ちを育くんでいくことをねらいとする活動を紹介しました。

今回ご紹介する活動は、五行詩を作って自分をアピールするというものです。詩は、名前や性格に加え、自分を特徴づける「好きなこと」や「できること」を、単語やフレーズで表現します。最後は、“This is ME. I am SPECIAL.”(「これが私。かけがえのない特別な存在です。」)で結びます。また必要であれば、この活動の後で、この詩に対する思いを日本語で説明させてもよいでしょう。

発表は、画用紙に写真を貼ったり、イラストを描いたりしたものを見せながら行うとよいでしょう。一例として、私の作品を紹介しましょう(ちなみに中央の私の絵は、当時7歳の息子が描いたものです)。

Tetsuya.
Kind and Friendly.
Family, Books, Music, and Teaching.
This is ME.
I am SPECIAL.

大阪のある小学校6年生の児童の作品を、三つ紹介しましょう(名前は仮名です)。

自己紹介用のイラストや写真

 

<作品1>
Yuko.
Helpful and Creative.
Mother and Sister.
This is ME.
I am SPECIAL.

<作品2>
Tomo.
Kind and Polite.
Science, Rocket and the Cosmos.
This is ME.
I am SPECIAL.

<作品3>
Makoto.
Funny, Active, and Friendly.
Baseball, Baseball, and Baseball.
This is ME.
I am SPECIAL.

作品1からは、Yukoの家族を大切にしている思いが伝わってきます(Mother and Sisterという言葉には、彼女が幼稚園に通っていた頃、突然父親を亡くしているという背景があります)。作品2のTomoは、将来、科学者になって宇宙について研究したいと願っています。作品3のMakotoは、野球をこよなく愛し、将来はプロの野球選手になろうとがんばっています。一つ一つの単語に、子どもたちの思いがぎゅっと凝縮されていることがわかりますね。

使っている単語やフレーズは簡単で短いものですが、このような活動を通して、小学生でも英語で自己の存在や価値をアピールすることができます。小学校の外国語活動では、自己や他者についての理解をよりいっそう深めていくことのできる、意義のある活動を取り入れていきたいものです 。

次回は、「褒める」ことで他者受容を促すアクティビティを紹介します。

Illustration: Atsushi Hara

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