
子どもの心を耕す外国語活動
2016年10月6日 更新
加賀田 哲也 大阪教育大学教授
「かかわり合い、伝え合い、つながり合う」ことを目ざした、小学校英語の実践をご紹介します。
加賀田哲也(かがた・てつや)
1965年福岡県生まれ。大阪教育大学教育学部教授。米国シアトルの州立ワシントン大学(理論言語学)および大学院(教育心理学)を修了後、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程後期修了。博士(人間科学)。大学で教員養成に携わる他、小学校、中学校、高等学校などで英語授業改善のための指導や教員研修に当たっている。光村図書中学校英語教科書『COLUMBUS 21』編集委員を務める。
第5回 あなたの○○が素敵!
今回は、授業のウォームアップで使えるエクササイズ “I like your ○○!”を紹介します。 多くの場合、“like”は「好き・嫌い」を表現するときに使いますが、今回の “like” は他者の外見や持ち物などについて「褒める」ときに使います。
この活動のねらいは「友達の外見、持ち物などで自分が素敵だなと思うところ、気に入っているものを見つけて褒めることで、他者受容を促す」ことです。
まずは、“your”を導入するにあたり、“my” と “your”の違いを以下のようにして気づかせます。
教師:(自分のペンを見せながら、)This is MY pen.
(児童のペンを手に取って、)This is YOUR pen.
教師:(自分の消しゴムを見せながら、)This is MY eraser.
(児童の消しゴムを手に取って、)This is YOUR eraser.
このような練習を数回行えば、子ども達は “your” が「あなたの」という意味であるのに気づくことができると思います。英語での授業で大切なことは、日本語使用に甘んじることなく、可能な限り英語を使って気づかせることです。
次に、ペアを組み、お互い10秒間見つめ合わせます。その後、ペアを組んだ友達の外見、持ち物などで自分が素敵だなあと思うことを見つけて、英語で伝え合います。
A: I like your shirt.
B: Thank you. I like your pants.
C: Thank you.
このようなやり取りをした後、“so pretty!”, “so cool!”, “so nice!”, “so beautiful!”など、ちょっとした感想を一言つけ加えるように指示します。
A: I like your shirt. So pretty!
B: Thank you. I like your pants. So cool!
C: Thank you.
あるクラスで実際に聞かれた会話を、いくつか紹介しましょう。
ひろ: I like your T-shirt. So cool!
あい: Thank you. I like your cap. So nice!
ひろ: Thank you.
ゆうこ: I like your smile. So pretty!
えみこ: Thank you. I like your hair. So beautiful!
ゆうこ: Thank you.
このようなエクササイズをすることで、お互いを認め合う気持ちが育ち、クラスに心地よさや温かさを感じることができます。よりよい学級づくりのために、このエクササイズを日本語で行ってもいいでしょう。
次回は、連載の最終回。できることを紹介する活動の中で、自他を尊ぶことの大切さを学ぶ「みんなちがって、みんないい」というアクティビティを紹介します。
Illustration: Atsushi Hara