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学力を伸ばす学級経営Q&A

神山 安弘

専修大学客員教授

「主体的・対話的で深い学び」の視点から学級経営を考えるヒントを紹介します。

神山安弘(かみやま・やすひろ)

1951年横浜市生まれ。専修大学客員教授。元東京都江東区立明治小学校統括校長。文部科学省「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議委員」などを歴任。

第11回 1月の学級づくりのポイント
~「対話的な学び」を
充実させる教師の役割~

2020.1.17

Q.1 1月になり今年度も残り3か月です。学級づくりに全力を尽くし、子どもたちに素晴らしい思い出をつくり次年度に向けて自信をもたせたいと思います。どんなことに気をつければよいでしょうか?

◆1月の学級づくりのイメージ
 楽しかった冬休みが終わり、子どもが教室に帰ってきました。子どもの気持ちは、「休んでいたかった」、「友だちに会いたかった」など多様です。しかし、1月は1年間のまとめと次学年への準備のスタートであり、今年度の目標にしてきた「学級経営」や「授業」に迫る実践をする時期です。子どもが新たな気持ちでスタートラインに立てるように、学年の仕上げをしていきましょう。ポイントは学級経営の確認、学び合う集団づくりです。

(1) 「学級経営」の確認

 学級は子どもにとって「学習の場」であり「生活の場」です。集団生活を通して子どもに「生きる力」を育み、「よさや可能性」を伸長させる場です。そのために、学級経営で大切にしたい以下のポイントを確認しましょう。

①「人権」が尊重されている
②「正義」が尊重されている
③「信頼」する心が育っている
④「自分」を発揮することができる
⑤「協働」する心が育っている
⑥「共感」する心が育っている
⑦「受容」する心が育っている

 これらは、学級が子どもにとって「安心・安全」な場であり、「個性」を最大限に発揮できる場であるために大切なことです。

(2) 「学び合う」集団づくり

「学び合う」集団には、親しみと規律があります。困った子への配慮をさりげなくできる子が多くいたり、互いのいい面を見つけて認め合いながら楽しく活動したりすることです。そのために、「学び合う」集団づくりで大切にしたい以下のポイントを確認しましょう。

①「学習意欲」に溢れている
②「学習規律」が尊重されている
③「学習ルール」が守られている
④「一人」で学習する力が定着している
⑤「集団」で学習する力が定着している
⑥子どもが問題に直面したとき集団で問題を解決する力がある

 これらは、親しい人間関係の中で、「自己の確立」が促されるとともに、集団の中で学び合うことで「社会性」を身につける大切なことです。

Q.2 授業で「対話的な学び」を実践するときに、教師はどのようなことに気をつけて実践すればよいでしょうか?

◆「対話的な学び」に挑戦する意味
 小学校では新学習指導要領が2020年4月から完全実施されます。既に多くの学校が校内研究のテーマとして実践研究したり、多くの教師が子どもの実態を見て授業で「対話的な学び」を実践したりしています。1月は、自分の「対話的な学び」の実践を振り返り「成果と課題」を明らかにし改善していくことが大切です。

「対話的な学び」の実践は、学習活動それ自体が目的ではありません。単元や本時の目標を達成するための学習活動の一つとしてとらえることが大切です。そのために、自分の授業づくりを次の3点から確認してみましょう。

①学習内容の焦点化
 教材研究を行い単元の指導計画を作成します。学習内容全体を理解するとともに、何を指導の重点にするのか内容を整理し焦点化します。

②授業内容の構造化
 1単位時間の構造をシンプルにした授業を構成します。1単位時間の授業を問題解決
的な学習過程にし、子どもが授業の見通しをもち臨めるようにします。

③教師の言葉の明確化
 教師の授業での発言を精選します。教師の説明・指示を簡潔にし、子どもが1回の発言で学習活動に取り組むことができるようにします。

◆「対話的な学び」の質を高める
 小学校では「対話的な学び」はこれまでも多く実践されています。例えば、事実や様子を把握する、予想を出し合い焦点化する、見通しを共有する、調査活動をする、討論や話し合いをする、共同作業をするなど、学習過程の多くの場面で実践されています。

しかし、新学習指導要領で示された「対話的な学び」は、多様な人とかかわり合い、
学び合うことで自分の思考や理解を深め、学びの質を高めることが求められています。自分が実践している「対話的な学び」について次の点から確認してみましょう。

①単元の中心的な場面に「対話的な学び」を位置付ける
 学習問題を設定する場面、学習問題の予想や学習計画を立てる場面、単元の後半や終末における目標に迫る場面、これからの社会の在り方や自分の生活について考える場面などで、「対話的な学び」を位置付け実践します。

②子どもが意欲的に「対話的な学び」に取り組む
 「対話的な学び」を学習過程のどの場面で位置付けるかを検討することで、問題を深め迫ることができたり、問題を解決することができたりします。子どもに「対話的な学び」の目的や必然性を実感させることで意欲的に取り組むことができます。

③「対話的な学び」の活用
 「対話的な学び」は子どもが主体的に取り組む活動です。子どもが「対話的な学び」
をしている時間は、教師は各集団の学びを観察し支援を行う時間であり「観る」「聴く」「記録する」に徹する時間です。そして、集団の学びを可視化し学級全体の学びにすることが大切です。そのために、次のことを準備しましょう。

・子どもが考えをノート、付箋、ワークシートなどに表現してから参加する。
・集団の学び合いを「見える化」するボード、画用紙、ワークシートなどを用意する。
・各集団の学びを学級全体で共有化するための時間の確保や掲示や発表の工夫をする。

次回は,3月予定です。

Illustration: みずうちさとみ