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冬休み!書き初めお悩み相談室 実際にやってみました編

みつむら子育て応援特集

2022年12月20日 更新

光村図書がお届けする保護者向け子育て応援特集です。

実際にやってみました 編

昨年、ご好評いただいた「書き初めお悩み相談室」では、樋口咲子先生と西野暁子先生に保護者からの疑問にQ&Aで答えていただきました。今年は、Q&Aでいただいたアドバイスを踏まえ、「実際にやってみました編」をお届けします。
今回挑戦するのは、小学3年生のひかりさん(仮名)親子。ひかりさんは、習い事などで筆をもった経験はなく、毛筆の授業にやや苦手意識があるとのこと。「わたし、筆だと上手に書けないんだよ」と言いながら、気の乗らない様子で書写のバックから用具を取り出し始めました。

「書き初めお悩みQ&A 編」はこちら

1.準備する

まずは用具の準備。新聞紙を敷いて、道具を置きます。

保護者雑巾をケースの下に敷くと、汚れにくくていいみたいだよ。

ひかりさんわたしは敷かない。汚さないもん。

少し反抗期のひかりさん。ここは子どもの意思を尊重し、雑巾を敷くことはやめましたが、西野先生のアドバイスどおり、次の二つを約束しました。(Q7参照)

  • 筆は、必ず筆置きに置くこと
  • 筆を持ったまま他の作業をしないこと
書き初め 冬休み 宿題
墨液は、半分より少ない程度に入れます。(Q8参照)

2.まずは書いてみる

書き初め 冬休み 宿題

一生懸命、教科書の見本を見ながら書くひかりさん。自分のイメージどおりに書けないようで、悔しそうな表情です。

書き初め 冬休み 宿題

樋口先生のアドバイスどおり、最初の一枚はとっておきます(Q3参照)。

3.筆に慣れる

最初に書いた字を見てみると、全体的に小さく、線が極端に細い箇所もあります。筆に慣れていないのかもしれません。そこで、西野先生のアドバイスのように、太い線、細い線を何本か書き、力の入れ方と線の太さの感覚をつかみます。(Q5参照)

書き初め 冬休み 宿題

ひかりさんちょっと楽しい。

墨の使い方もここで確かめます。ついつい筆先にだけ何度も墨をつけようとするひかりさんに、保護者が筆の根本までしっかり墨を含ませるよう声をかけます。余分な墨は、硯の縁で取って筆先を整えます。(Q8参照)

4.字の大きさや太さをつかむ

次に、字の大きさや太さをつかむ練習。文字の上に紙を載せて輪郭をとり、それをなぞって書いてみます。(Q5参照)

書き初め 冬休み 宿題

ここで、あることに気づきました。ひかりさんは、筆で横画を書いているうちに、穂先の向きが斜めから真横になってしまっています。無意識に手首をひねっているようです。

書き初め 冬休み 宿題

始筆は穂先を斜めにおいても、終筆ではいつのまにか真横に……

そこで、教科書で活躍する「ななめほさきちゃん」に登場してもらいました。

書き初め 冬休み 宿題

「ななめほさきちゃん」を赤鉛筆で書き込む

ひかりさんうふふ。ほさきちゃんかわいい。

書き初め 冬休み 宿題

穂先の向きを意識しながら、腕を動かして書くことで、手首をひねらなくなりました。

5.字の形を捉える

字の大きさや太さを捉えたら、字の形を捉えます。Q4の方法を親子で実践。ゲーム感覚で文字の形のイメージをつくります。

  1. 課題文字の見本をいっしょに眺めながら、画の長さや方向などを確認する。
  2. 子どもと大人で違う色の色鉛筆を使って、一画ずつ交代で文字を書いてみる。
  3. 書き終わった文字を見本と比べ、「もう少し長い方がよかったね」など、会話を通して外形を確認する。

書き初め 冬休み 宿題

ひかりさん縦の画が長すぎたなあ。

保護者 本当だ。もう少し短い方が、バランスがいいんだね。

6.いざ本番

文字の形、大きさ、太さを捉えたところで、実際に書いてみます。練習では、行の中心を意識するため、半紙に縦に折り目をつけて書くことにしました。(Q2参照)

書き初め 冬休み 宿題

書き初め 冬休み 宿題

理想の字が書けるまで、何度も練習するひかりさん。隣で見ている大人は、いろいろと注意をしたくなるかもしれませんが、ここは我慢。西野先生のアドバイスのように、本人が気をつけたいと言ったこと一つに絞って声をかけます。(Q3参照)

ひかりさん次は、横画の太さに気をつけてみようかな。

保護者おお、いいね。ちょうどいい太さに書けているね。

7.まとめ

ひかりさんもう疲れた~!

ということで、最後の一枚を書いておしまい。最初の字と比べてみます。
払いの方向など、課題もほんの少しありますが、最初と比べると見違えるように堂々とした字になりました。

ひかりさんすごく上手になった! わたし、書写、上手かもしれない。

保護者すごくかっこいい字になったね! 頑張って練習する様子に感動したよ。

書き初め 冬休み 宿題

保護者の感想

大人は、子どもの字を前にしたとき、「もっと大きく書いたら」「この画はもっと長く」と、よかれと思ってついつい注意ばかりしてしまいます。今回、樋口先生と西野先生のアドバイスを参考に、「いろいろな太さの線を書く」「文字の輪郭をなぞる」といった活動を通して、一方的に注意をするのではなく、子どもと一緒に試行錯誤することができました。そして、何よりの収穫は、ひかり自身が、自分の字に自信をもつことができたことでした。

Illustration:石黒亜矢子

樋口咲子(ひぐち・さきこ)

千葉大学教育学部教授。光村図書小学校・中学校「書写」教科書編集委員。全国大学書写書道教育学会常任理事。全日本書初め大展覧会審査顧問。学生や現職教員の書写書道教育に携わるとともに、書家としても活動している。

西野暁子(にしの・あきこ)

千葉市立海浜打瀬小学校教諭。光村図書小学校「書写」教科書編集委員。公立小学校で、小学生の書写指導に携わっている。

 

書き初めお悩みQ&A 編 はこちら

「子どもに何からアドバイスすればいい?」「楽しく文字の形を教えるコツは?」。「書写」「国語」教科書の文字を書いてくださっている樋口咲子先生と、小学校での書写指導に携わる西野暁子先生のお二人に、保護者からのお悩みに答えていただきました。

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