みつむら web magazine

人権を尊重するための対話の重要性

道徳と人権教育

2025年4月4日 更新

光村図書 道徳課

道徳教育の専門家である荒木寿友先生と弁護士の真下麻里子先生に「道徳」と人の権利である「人権」について語っていただきました。

荒木:

大人って、子どもが意見表明をすると、全てを受け入れなければならないと思っているんじゃないですかね。でも、そんなことは全然なくて、大人はちゃんと理屈も伝えなければいけない。言われっぱなしでそうしないといけないとなると、そこには対話が生まれてこない。子どもから言われたことに対する大人の意見はこうで、共通項はどこにあるのかということを探していくのが、とても大事なんですよ。

真下:

そこのプロセスをあまり重要視していないように思いますね。

荒木:

そうなんです。学校教育でも、子どもたちどうしの主張でもよく見られるんですけど、「私はこうしたい」「周りはこうしたい」と言って、意見が対立する。対立したらそこで終わりではなく、その対立をいかに調整していくかという対話の能力がすごく大事なんです。このプロセスはとても面倒ですが、そこを大事にすることが、学校教育では重要です。

真下:

そして、対話をするためには、お互いの権利を認めるということ、ここからスタートしていかないといけないんですよね。

荒木:

その通りです! そうしていかないと対話する道徳、対話する学校生活にはならない。お互いの権利を認める。そこからスタートして、対話する力を鍛えていくことで、すばらしい社会になっていくんだろうなと思うんです。あと、「自分が自分であって大丈夫」「他人が他人であって大丈夫」という寛容の精神がないとだめなんじゃないかな。いろいろな意見を認められる寛容さ、それを子どもたちには学んでほしいです。もちろん、大人もなんですけど(笑)。

 Photo : Tomohiro Watanabe

真下麻里子 写真

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荒木寿友(あらき・かずとも)

立命館大学大学院教授

教育学、道徳教育を専門とする。主な著書に『いちばんわかりやすい道徳の授業づくり』『ゼロから学べる道徳授業づくり』(ともに明治図書出版)などがある。光村図書小・中学校『道徳』教科書編集委員。

真下麻里子(ましも・まりこ)

弁護士/NPO法人ストップいじめナビ理事

全国の学校でオリジナルのいじめ予防授業や講演活動を実施する。主な著書に『弁護士秘伝! 教師もできるいじめ予防授業』『「幸せ」な学校のつくりかた――弁護士が考える、先生も子どもも「あなたは尊い」と感じ合える学校づくり』(ともに教育開発研究所)などがある。

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