
書写の基礎講座
2015年1月30日 更新
小学校書写の目標、望ましい学習のあり方、心がけたいポイントなど、指導に関する基礎的な知識や考え方について、わかりやすく解説します。
整った字形とは
就学直後、文字の書き方の学習が始まると、子どもたちは、覚えたての文字を一生懸命繰り返して書いています。その光景を見ていると、あたかも子どもたちの体内に音を立てて文字が吸収されていくかのように見えます。
文字の骨格(字体)を習得した子どもたちは、やがて、書き文字の基準としている整った字形にあこがれるようになり、このように書いてみたいと願うようになります。整った字形は読みやすく、見た目もすがすがしいので快感すら覚えます。これを自分の手で書けたらいいなと思うのは当然で、それは、生まれながらにもっている美的本能の芽生えともいえるでしょう。このような子どもたちの要求に応えるのが国語科書写の大きな使命といえます。
さて、整った字形とは具体的にどのような形を指すのでしょうか。小学校の教科書は、全教科、「小学校学習指導要領」の別表学年別漢字配当表の字形をもとにデザインされた教科書体活字によって印刷されています。
教科書体活字は明朝体やゴシック体などとは異なり、終筆のはねや払い、筆押さえなどが毛筆による手書き風にデザインされていることから、文字の習得期にある小学生に用いられているのです。したがって、小学校の漢字指導は、教科書体活字の字形を標準として行われ、さらに、書写の教科書の書き文字教材もこれをもとに書かれているので、子どもたちにとってはこれらの文字が整った字形であり、読みやすい字形ということになります。
中・高校生、大学生にさまざまな種類の文字を提示して、字形の整い度、読みやすさの度合い、好感度などを調査すると、ほとんどが教科書体活字と書写教科書に示された書き文字を選択します。このことが証明するように、教科書体活字の字形や書写教科書の書き文字は、整った字形の代表と考えてよいでしょう。それだけに、両者は大きな責任も負っていることになります。
字形を整えて書くためには、さまざまな決まりがあります。字形の整え方についてのさまざまな要素については、書写の時間に学習していくことになります。
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