 
                    ALTとの会話のコツ
2025年10月10日 更新
窪田 遼 株式会社イーオン
英会話イーオンと光村図書のコラボ企画。
小学校の先生方がALTとコミュニケーションを取るときのコツをお伝えします。
ポジティブなフィードバックを
Hello, teachers! My name is Ryo Kubota from AEON. In this series, I’m sharing tips for communication between school teachers and ALTs.
多くの外国人講師と共に働いてきた経験をもとにお伝えしている当連載ですが、今回は、ALTへフィードバックを行う際に使える英語にフォーカスしてお話します。ALTとのよりよいペアティーチングの実現のために欠かせないフィードバックですが、繊細な面もありますので、ぜひコツをつかんで、日々のALTとのコミュニケーションに役立ててください。
フィードバックのポイント
皆さんは授業に関するフィードバックと聞いてどのようなことをイメージするでしょうか。うまくいっていない部分を指摘されるなど、ネガティブな印象をもっている方も多いかと思います。
フィードバックは必ずしもネガティブな内容に限ったことではありません。うまくいったことも、うまくいかなかったことも、あるいはいつもどおりだったことも、客観的な視点で言葉にして伝えてあげることです。普段からフィードバックを行わず、いざ問題が起きたときにだけフィードバックを行うとネガティブな内容が中心になってしまいます。フィードバックを特別なものにせず、あたりまえに授業の後にコメントできるようになるとよいと思います。
またフィードバックは一方向的なものではなく、相互に行ってよいものです。一緒に授業をする仲間として、一つの事象に対して認識を共有できていることは、授業改善の大きな力になります。フィードバックは与えるスキルも必要ですが、受け取る側のマインドセットも非常に重要な要素です。相互にフィードバックを行えるように、そのベースとなる信頼関係の構築も欠かせません。
感謝を述べるフレーズ
フィードバックを素直に聞ける関係をALTの先生と構築しておくことが大切だとお話しましたが、ベースになるのは日ごろの感謝の言葉と、相手の仕事に対して敬意をもって接する姿勢です。 “Thank you.”はたくさん伝えていること思います。それにちょっとした工夫を加えると、ティーチングパートナーとしてこちらが何に感謝しているのかのフィードバックとしても機能します。
“Thank you for ....” で具体的に感謝の内容を表す
Thank you forの後に感謝したい内容を入れることで、具体的に何に感謝しているかを表すことができるようになります。forの後には名詞か、動詞のing形を入れます。
| 1 | Thank you for your help. | 手伝ってくれてありがとう。 | 
| 2 | Thank you for your fun activities. | 楽しい活動を行ってくれてありがとう。 | 
| 3 | Thank you for your creative ideas. | 創造的なアイディアをありがとう。 | 
| 4 | Thank you for sharing your culture. | あなたの文化を教えてくれてありがとう。 | 
| 5 | Thank you for your patience with students. | 忍耐強く子どもたちを見てくれてありがとう。 | 
| 6 | Thank you for your flexibility. | 柔軟に対応してくれてありがとう。 | 
| 7 | Thank you for bringing energy to our class. | クラスに活気をくれてありがとう。 | 
| 8 | Thank you for being prepared for the lesson. | しっかり準備をしてレッスンに臨んでくれてありがとう。 | 
‘always’を加えて日ごろからの感謝を表す
いつもしてくれていることに改めて感謝の気持ちを伝えたいことってありますよね。今気がついたわけではなくて、いつもありがたく思っていたことに改めて感謝の言葉を伝えていますよ、というニュアンスは大切にしたいものです。そんなときは ‘always’ ‘as usual’などを使いましょう。
| 1 | Thank you always for your support. | いつも協力してくれてありがとう。 | 
| 2 | Thank you for your great teaching as usual. | いつもながらすばらしい指導をしてくれてありがとう。 | 
ポジティブなフィードバックを行うフレーズ
ポジティブなフィードバックはモチベーションを高めてくれますし、うまくいった行動を定着させる効果も期待できます。そんなポジティブなフィードバックを与えるのに適したフレーズを紹介します。 “Good job!” の具体化と考えてもよいです。主語をyou / I / we / students に替えることで、さまざまなことを表現できるようになります。
| 1 | You did a great job engaging the students today. | うまく子どもたちの関心を引きつけていましたね。 | 
| 2 | We handled the pair work very well. | ペアワークがうまくいきましたね。 | 
| 3 | I really liked your creative ideas. | あなたの創造的なアイディアがとても気に入りました。 | 
| 4 | I love how you introduced your culture. | あなたの文化を紹介した方法がとても好きです。 | 
| 5 | The students had fun. | 子どもたちは楽しんでいました。 | 
| 6 | The students were so into your game. | 子どもたちがあなたのゲームに夢中になっていましたね。 | 
改善を促すフィードバックを行うフレーズ
改善を促すフィードバックは気を遣います。‘wrong’ ‘bad’などの表現は、よっぽどのことがないかぎりは避けたほうがよいと思います。良し悪しのジャッジメントをするよりも、何が起きたかの事実と、次はどうするかを具体的に提示するほうが建設的でモチベーショナルなフィードバックになるからです。私はネガティブなことを言わなくてはいけないときは、主語を‘we’や、改善策にして話すことがよくあります。ちょっとしたことですが、相手にとっては受け入れやすい要素になります。
| 1 | (The children were a little confused.) We could show a model conversation. | (子どもたちは少し迷っていましたね。) 会話の手本を見せたほうがよかったですね。 | 
| 2 | (The children were a little confused.) We should speak more slowly. | (子どもたちは少し迷っていましたね。) もっとゆっくり話すようにしましょう。 | 
| 3 | (The children were a little confused.) Let’s use more gestures. | (子どもたちは少し迷っていましたね。) もっとジェスチャーを使うようにしましょう。 | 
| 4 | (The children were a little confused.) Using pictures might be helpful. | (子どもたちは少し迷っていましたね。) 写真を使うとわかりやすくなるかもしれませんね。 | 
| 5 | (The children were a little confused.) Why don’t we review the vocabulary in the next class? | (子どもたちは少し迷っていましたね。) 次の授業で語彙の復習をしませんか。 | 
実践 会話例
ここまで紹介した表現を使った会話例を紹介します。動画とスクリプトを用意しているので、ぜひ参考にしてみてください。
動画のスクリプト
A: 担任の先生 / B: ALT
A: Hi! Can we talk about today’s class?
B: Sure! What did you think?
A: I really liked your creative ideas. The students had fun!
B: Thank you! I’m happy to hear that.
A: But I saw that some students were a little confused.
B: Yes, I noticed that too. What should we do?
A: Why don’t we use more pictures or gestures? That might be helpful for them.
B: Good idea! Let’s try that.
今回はALTへのフィードバックで使えるフレーズや、ポイントについてお話ししました。大切なのは、フィードバックに対してオープンになれる関係を日ごろのやり取りから築いておくこと、ポジティブなことや助かっていることに関してもフィードバックを行うことです。また、改善が必要なことに関しては、一緒に取り組むべきこととして、建設的な話へと導くことです。まずはALTの先生に感謝の言葉を伝えることから始めるのもおススメですよ。 
Thank you very much for reading to the end. See you next time!
窪田 遼(くぼた・りょう)
株式会社イーオン 法人事業本部 教務コーディネーター
留学経験なしでイーオンに入社し、イーオンスクールでの教務主任などを経て現職。全国の自治体での教員研修を担当。特に、小学校教員への指導には定評がある。J-SHINE 小学校英語指導者資格保有。
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