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第1回 挨拶

ALTとの会話のコツ

2024年9月2日 更新

窪田 遼 株式会社イーオン

英会話イーオンと光村図書のコラボ企画。
小学校の先生方がALTとコミュニケーションを取るときのコツをお伝えします。

シンプルなようで難しい「英語での挨拶」

Hello, teachers!  My name is Ryo Kubota with AEON. 初めまして。AEONの小学校教員向け英語研修を担当しています窪田遼です。AEONの英会話教室はご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、AEONは学校向けに授業を行ったり、指導者の支援なども行ったりしています。私自身も各種学校で教壇に立つ機会をいただき、子どもたちに英語を教えたり、先生方へ向けて授業や英語力向上のための研修を担当したりしてきました。

私にとって英語は外国語です。それも国内で独学で身につけた外国語なので、日々英語で授業を行ったり、同僚として一緒に働くネイティブ講師やALTとコミュニケーションを取ったりする際には随分と苦労をし、これまで何度も失敗から学んできました。このコーナーでは、そのような経験から得たALTとのコミュニケーションに生かせるTipsや表現についてお伝えしていきます。

一回目である今回は、避けては通れない「英語での挨拶」にスポットをあてましょう。これまでも何度か英語で挨拶をした経験はおもちだと思いますが、シンプルなようで、案外難しいものですよね。実は私も英語での挨拶には苦労しました。「これ、どう返すのが正解?」と言葉に詰まることもしばしば。ただ、私の場合はちょっとした気づきで一気に楽になりました。朝の挨拶がうまくいくと気分がいいですよね。基本の挨拶から、定番のやりとり、ちょっと困っちゃうあの挨拶まで、ぜひ一緒に声を出しながら読んでみてください。この記事を読めば、皆さんの英語での挨拶に関する疑問や不安が解消されるはずです。

Contents

まずは初対面の挨拶について考えましょう。First Impression は大切にしたいですね。会話例を見てみましょう。

A: Good morning. Nice to meet you, I'm Ryo Kubota.
B: Nice to meet you too. I'm Steve Vrablik.
A: Welcome to AEON Elementary School.
B: Thank you very much. I'm very excited to work here.

初対面といえば、定番の “Nice to meet you.” ですね。初めて会う人に対する挨拶はまずこれで問題ありません。カジュアルな場面でもフォーマルな場面でも使うことができます。 “Nice to meet you.” は普通は自己紹介と一緒に使う表現ですので、続けて、 “I’m Ryo Kubota.” と名乗ることができればより自然です。

では、この “Nice to meet you.” に対してどう返すのがよいでしょうか。 “Nice to meet you too.” と返すのが定番です。このとき ‘you too’ の部分にアクセントをつけるとより自然に聞こえるはずです。やはり、一緒に名乗るのが自然です。

ここまでで初対面の挨拶として成立していますが、現実世界では、続けて短い言葉を交わすのが普通ですよね。“Welcome to AEON Elementary school.” などと、歓迎する気持ちを伝えることができると完璧です!

初対面の挨拶の仕上げとして、 “Nice to meet you.” の代替表現を見ておきましょう。
➊It's a pleasure to meet you. (お会いできて嬉しいです。)
❷Nice to finally meet you. (やっとお会いできて嬉しいです。)
❸I've been looking forward to meeting you. (会えるのをずっと楽しみにしていました。)

いずれも初対面のときによく使われる挨拶表現ですので、言われても慌てることのないようにしておきましょう。➊❷に対しては、“Nice to meet you too.”  ❸に対しては、 “I’ve been looking forward to meeting you too.” と応えましょう。

続いて、日々の挨拶です。バリエーションも多く存在しますが、まずはよくあるやり取りからおさえていきましょう。

A: Good morning, Steve.
B: Good morning, Ryo. How are you doing?
A: I’m good. And you?
B: Not bad.

上の例では、 “Good morning,” で始めていますが、これは比較的フォーマルな表現です。顔なじみの間柄であれば、 “Hi, Steve.” と言うのも自然です。

続いてHow are you doing? と質問されています。 “How are you?” と同じか、それ以上によく使われる表現です。このような「調子はどう?」という質問が、英語の挨拶が難しい一つのポイントだと思います。挨拶とはいえ質問をされているのですから答えないわけにもいかなし、質問とはいえ慣用的な挨拶ですので、あまり深い答えを返すのも違和感を与えます。基本的にはポジティブで無難な返事するのが良いです。ここで “I’m sleepy.” や “I’m tired.” といったネガティブな返事をするのは、間違いとは言えませんが、普通の挨拶ではないので相手からすると何か意図があるのかなと考えてしまいます。反対に “I’m happy.” はポジティブではあるのですが、朝の簡単な挨拶で「私は幸せです!」と宣言をするのも違和感があります。“I’m fine.” や “I’m good.” といった返答が通常の挨拶としては適切です。

もう一点、気を付けなければいけないことがあります。それは、 “How are you?” や “How are you doing?” の質問に答えたら、必ず相手にもきき返さなければいけないということです。これはマナーだと思いましょう。相手はきき返されるのを待っていますよ。

最後に “I’m good.” の代替表現を見ておきましょう。
➊Fine. / Good. / Great. (元気だよ。)
❷Pretty good. (それなりに元気だよ。)
❸Not bad. (悪くないよ。)

日々繰り返す挨拶が自然と短くなっていくのは日本語と一緒ですね。➊のように文ではなく、単語だけで答えることもよくあります。

また、“So-so.” と言ってしまう方、ぜひ❷や❸に言い換えてみてください。日本語の「まあまあ。」に近いことを表現できます。 ‘pretty’ は「結構」という意味で、ここでは「かわいい」ではありません。​​​

最後に、どう答えるべきかつい考えこんでしまいそうな、日々の挨拶のバリエーションを見ていきましょう。皆さんなら、 “Long time no see.” や、“What’s new?” にどう答えますか?会話例を見てみましょう。

A: Nice to see you, Steve.
B: Long time no see, Ryo. What's new?

A: It's been a while. I visited my hometown during the vacation.
B: That's nice. Were you able to relax?
A: Yeah. I watched TV and ate a lot. How about you?

まずは、 “Nice to see you.” から会話が始まっています。これは、 “Nice to meet you.” とは違い、会うのが2回目以降の人に対して使う挨拶です。

そして、 “Long time no see, Ryo.” と言われてしまいました。しかも、 “What’s new?” と畳みかけてきます。かつての私にとっては、何と答えていいかわからない超難問二つの合わせ技でした。切り返し方さえわかってしまえば、なんてことありませんので、一緒に克服しましょう。

“Long time no see.” は久しぶりに会った人にかける挨拶言葉です。これには、 “It’s been a while.” と応えるのがお決まりの形です。「しばらくぶりですね。」といった意味になります。

“What’s new?” はどう答えるのがよいでしょうか。直訳すると「何が新しい?」ということですので、頭の中で新しいことを探して迷子になりそうですが、要は「変わりはありませんか?」ということが聞かれています。ですので、 “Not much.” (特に変わりないです。) といった、一見すると素っ気ないような返事が一般的なのです。あるいは、話のネタにちょうどよいイベントがあればそれについて触れましょう。引っ越しや転職、旅行や家族の近況などについて話すことが多いです。会話例では、休暇を使って実家に帰ったことを話していますね。

最後に、 “What’s up?” というカジュアルな挨拶をされたことはありませんか。どう反応していいか困る人が多いのですが、基本的には “What’s new?” をカジュアルにした表現だと思ってください。ですので、返答は “Not much. How about you?” と同じように対応することができます。

 

では、1~3の会話例を動画で確認してみましょう。

 

今回はさまざまな挨拶と対応のしかたについて学んでいきました。ALTとの英語での挨拶、一見すると授業とあまり関係のないことのようですが、日々の挨拶による関係づくりが、ペアティーチングでの自然な掛け合いを生むこともあります。何事も挨拶から!というのは、英語も同じかもしれませんね。

Thank you for reading. See you next time!

Contents 1~3のスクリプト

Contents 1
A: Good morning. Nice to meet you, I'm Ryo Kubota.
B: Nice to meet you too. I'm Steve Vrablik.
A: Welcome to AEON Elementary School.
B: Thank you very much. I'm very excited to work here.

Contents 2
A: Good morning, Steve.
B: Good morning, Ryo. How are you doing?
A: I’m good. And you?
B: Not bad.

Contents 3
A: Nice to see you, Steve.
B: Long time no see, Ryo. What's new?
A: It's been a while. I visited my hometown during the vacation.
B: That's nice. Were you able to relax?
A: Yeah. I watched TV and ate a lot. How about you?

窪田 遼(くぼた・りょう)

株式会社イーオン 法人事業本部 教務コーディネーター

留学経験なしでイーオンに入社し、イーオンスクールでの教務主任などを経て現職。全国の自治体での教員研修を担当。特に、小学校教員への指導には定評がある。J-SHINE 小学校英語指導者資格保有。

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