みつむら web magazine

第2回 相づち

ALTとの会話のコツ

2024年12月2日 更新

窪田 遼 株式会社イーオン

英会話イーオンと光村図書のコラボ企画。
小学校の先生方がALTとコミュニケーションを取るときのコツをお伝えします。

相づちが上手な人は、コミュニケーション上手!

Hello, teachers! My name is Ryo Kubota with AEON.
私はイーオンの学校法人向け英語研修で講師をしています。英語を教えることが仕事なのですが、ネイティブの講師たちとの日々のミュニケーションでは、やっぱり英語は難しい!と感じることもしばしば。失敗しながらそれも楽しんで学びに変えてやろうという ‘thick skin’ をいつの間にか獲得していました。このコーナーでは、そんな経験から得た、先生方がALTとのコミュニケーションに生かせるTipsや表現についてお伝えしていきます。

突然ですが皆さんはどんなときにどんな相づちを打っていますか?
「うんうん」「うーん」「えー」など、さまざまですよね。今回は、そんな地味だけど大切な「相づち」にスポットをあてます。

日本語でも無意識に発している言葉だからこその難しさはありますが、発する音は違えど日本語の相づちも英語の相づちも役割はほとんど同じなので、きっとマスターできます。ちなみに相づちが上手な人は、言葉を使ったコミュニケーションそのものが上手である可能性が高いです。

コミュニケーションの要! 相づちの役割とは?

そもそも相づちって何なのでしょうか。本来の意味で言えば、刀鍛冶がリズムを合わせて交互に槌(つち)を打ち合わせて鉄を鍛える行為ですね。会話中の相づちもまさしく、コミュニケーションのリズムを合わせるためにあると言ってよいでしょう。会話はお互いの呼吸を合わせて、協力して作り上げるコミュニケーションです。それを達成するために、私たちは無意識に英語でも日本語でも相づちを打ってさまざまなシグナルを相手に送り、また受け取っています。「相手の話を聞いている」ということを表すのが相づちや、Active Listening の役割だとよく言われますが、実はもっと重要で、会話を成立させるうえで欠かせない役割を、この相づちが担っているんです。

長い音の相づちと短い音の相づち

では、私たちはどのようにシグナルを送り、話のリズムを合わせているのでしょうか。まずは日本語で考えてみましょう。相手の話している内容を既によく知っていて理解が容易なとき、皆さんはどんな相づちを打ちますか。例えば次のような発言に対してはどうでしょうか。

「リンゴには赤リンゴと青リンゴがありますが、……」

おそらく、「はい。」「うん。」「はいはい。」「うんうん。」などを思い浮かべたのではないでしょうか。

一方で相手の話している内容と自身の認識との間にずれや違和感があり、理解に少し時間がかかる、あるいはもっと説明を聞く必要があると感じるときはどうでしょうか。例えば以下のような発言です。

「リンゴには赤リンゴと緑リンゴがありますが、……」

「うーん。」「えー。」「はーぃ。」などと言いませんでしょうか。

つまり、相手の言っていることがよくわかっていて、話を先に進めることを促したり、話のテンポを速めたいときは、「うんうん。」や「はいはい。」などと、比較的短い音やその連続であるような相づちでシグナルを送っていることがわかります。一方でテンポを遅くして情報を処理する時間をもらったり、もっと説明を求めたりしたいときは、「うーん。」など比較的長い音の相づちで相手にシグナルを送っています。ちゃんと感受性のある相手であれば、話の内容やスピードを調整してくれるはずです。

このように、私たちは音の長短で互いにシグナルを送り合い、対話の息を合わせていることがわかります。これは英語での相づちにも同じことが言えます。

英語での相づち

それでは、英語での相づちを見ていきましょう。役割も日本語のものと近いですし、音の長短についても同じような規則がありますが、「うん」「そう」「はい」といった日本語自体は使えません。そのまま使ってしまうと、“So”, “Hi”などの他の意味を持つ言葉に聞こえて会話の邪魔になってしまう可能性もあります。英語での自然な相づちを学んでおく必要がありますが、実際は単語というよりは、音やノイズに近いかもしれません。

会話のテンポを維持したり、速めたりする相づち

uh-huh:はい/うん(明確な肯定)

mm-hm:はい/うん(明確な肯定)

uh-uh:いいえ/ううん(明確な否定)

mm-mm:いいえ/ううん(明確な否定)

スペルだけでは音が想像しづらいと思うので、是非クリックして音を聞いてみてください。いずれも短い音の組み合わせになっていますね。肯定であっても、否定であっても相手の発言内容に対して判断をするのが容易である、話を先に進めようというシグナルになります。このような明確な相づちと相性がよく、メッセージがもっとわかりやすくなる表現を紹介しておきますので、組み合わせたり、重複を避けたりするための代替表現として使ってみてください。

uh-huh / mm-hm(明確な肯定)と相性のよい表現の例

・Good idea. (いい考えだね。)
・Good point.  (確かにそうだね。)
・That’s right. (そうだね。)
・Exactly.(まさしくそうだね。)
・Good. (いいね。)
・Great. (いいね。)
・Agreed. (同意するよ。)
・True. (その通り。)

uh-uh / mm-mm(明確な否定)と相性のよい表現の例

・It’s not. (それは違うよ。)
・That’s not right. (それはよくないね。)
・I don’t think so. (そうは思わないな。)

会話のテンポを落とす必要があるときの相づち

Mmmm:えー/うーん(理解の曖昧さや躊躇を表す)

Ummm:えー/うーん(理解の曖昧さや躊躇を表す)

Ahhhhh:えー/うーん(理解の曖昧さや躊躇を表す)

「うーん、それはどうかなぁ」「えーと、まあそれならOKかなぁ」というように、理解の曖昧さや躊躇を表したいときは、英語でも日本語でも比較的長い音が自然と出てくるのはおもしろいところですね。
これらの相づちと相性がいい表現も紹介します。

Mmmm / Ummm / Ahhhhh(理解の曖昧さや躊躇) と相性のよい表現の例

・That’s tough. (悩ましいね。)
・I don’t know. (わからないな。)
・Good question. (【少し皮肉を込めて】いい質問だね。/難しい質問だね。)
・I’m not sure. (よくわからないな。)

いかがだったでしょうか。会話の中で無意識に発しているような、ノイズともいえるような音にも、実は言葉としての重要な機能があることが分かったのではないでしょうか。今回紹介した以外の言葉も、ゆっくり長い音で言うのと、短くはっきり言うのでは表現するメッセージが変わってきます。わざわざ勉強するほどのことではありませんが、英語や日本語で話すときの相づちやテンポのコントロールをどう行っているか、少し意識してみるとおもしろい発見があるかもしれませんね。

最後に、これらの相づちを使った会話の例を載せておきます。

 

動画のスクリプト

A: Hi Steve, do you have time?
B: Sure.
A: We need to talk about our class.
B: Mm-hm.
A: I was thinking about changing the teams.
B: Mmmm, I don’t know. The kids might be more comfortable in the same teams.
A: Mmmm, that’s true. But it might be a good challenge for the kids.
B: Hmmm.
A: There was one really strong team
B: Ahhh.
A: And one weak team.
B: Mm-hm.
A: So we should make the teams more even.
B: Good point. Let’s try it for this week. Let’s see how it goes.

相づちによるシグナルによって会話が展開しているのを感じられたでしょうか。動画には、同じ会話で相づちを除いたバージョンも収録しましたので、是非ご覧ください。どちらが良い、悪いではありませんがその違いは感じてもらえると思います。ちなみに私は、相づちのある会話ではふたりが一緒にひとつの結論を作り出したような印象を受けたのに対して、相づちのない会話ではお互いに好き勝手に自分の言いたいことを相手にぶつけているような印象をもちました。皆さんはどう思いましたか?

今回は相づちについて考えてみました。ちょっとマニアックな内容でしたが、どんな会話にも関わってくる大切な話だと思います。皆さんのALTとのコミュニケーションのヒントにしてもらえれば幸いです。

Thank you for reading! See you next time!

窪田 遼(くぼた・りょう)

株式会社イーオン 法人事業本部 教務コーディネーター

留学経験なしでイーオンに入社し、イーオンスクールでの教務主任などを経て現職。全国の自治体での教員研修を担当。特に、小学校教員への指導には定評がある。J-SHINE 小学校英語指導者資格保有。

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