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笑顔があふれる
学校経営のヒント

太田 元

東村山市立東村山第三中学校 統括校長

管理職や行政での豊富な経験から、子どもも大人も笑顔があふれる学校づくりのヒントをお伝えします。

太田 元(おおた・げん)

東村山市立東村山第三中学校 統括校長
東京音楽大学音楽学部(器楽科)卒業。これまでに、東京都公立中学校長、東京都公立小学校長、都・区・市教育委員会で指導主事、統括指導主事、指導課長を歴任。

第3回 みんなが安心できる学校とは

2022.02.21

大切なのは「安心感の醸成」

私は、学校経営方針の最初に、「生徒を見守る大人の、より良い人間関係の構築」を挙げています。簡単に言うと、仲の良い大人が協力して生徒に関わる環境を作りたいということです。そのために、私も含めて教職員は、誰もが自分自身を大切にするとともに、ともに気持ちよく職務に向かえるようお互いを尊重し、心を尽くした言葉や行動により、お互いを支え合い、信頼し合える人間関係を今まで以上に創り上げていきたいと考えています。

大人の関係(教職員、保護者、地域など)をどのようにして良好にするか、これはとても大切なことだと思うのです。もちろん、それぞれ立場があり、子どもに求めるものも同じとは限りません。しかし、それぞれの立場をお互い尊重するような大人の関係の中で子どもの成長を促したいと思います。そのような穏やかな環境の中で子どもも大人も安心して、学んだり、生活したりできるといいと思います。

教職員誰もが「力」を発揮できる環境づくり

ライフワークバランスを考えた時に、「ライフ」の「ワーク」への影響をマイナスと捉えない職場環境があるといいと思います。「教員は学校でこのように働くべき」という考えは今後も通用するのか、今一度立ち止まって考えてみてもいいのではないでしょうか。

逆に、「教員として学校でこんな働き方ができる」という発想を追うことの大切さを感じています。だからこそ、「補い合うこと、支え合うことは当然のこと」という意識の醸成が必要だと思います。時代とともに働き方も変わっていくと思いますが、人が働くところでは、子どもたちが大人になっても、「補い合うこと、支え合うことは当然のこと」という意識が大切ではないかと考えます。私は、目の前の子どもたちに、今の大人の責任として、大切なことを自身の姿をもって示していきたいと思います。

そして、「その人らしさ」を尊重し支えることができるか、自分も「他人から支えてもらうこと」を感謝とともに受け入れる柔軟性をもてるかということを考えます。自分と同じ人は一人としていません。だから、関わる人の分だけ、相手を理解し尊重するということが求められます。しかし、個人によっても心の許容量は違います。だからこそ、相手を理解し尊重することが大切なのだと思います。自分なりにまずはそういう気持ちをもち、少しずつでも気持ちを行動に移せるようになるとよいのではないでしょうか。

ここで、もう一度、学校という職場に視点をあててみます。教職員がもてる力を十二分に発揮できるとしたら、それは子どもたちにとっても、保護者にとっても、また地域の方々にとっても安心できる学校が実現できるはずです。「もてる力」と言いましたが、学校にはさまざまな年齢の、さまざまな経験のある、そして、さまざまな思いをもった教職員がいて、それぞれ大きな力をもっています。

若いと経験の少なさに目が行きがちですが、毎日明るく、子どもとの年齢の近さを力として奮闘している先生がいます。子育て中で時間に限りがあると、できることが少ない印象をもつかもしれませんが、そのような先生は時間の使い方が上手です。決められた時間の中で十分力を発揮してくれます。体調がすぐれないときがある、または、不自由なことがあると感じている先生は、できる仕事も限られるのではないかと感じる人もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。そのような先生は、まわりの人のちょっとした変化を感じ、やさしく声をかけて、その人を楽にしたり、救ったりします。そして、その先生も周りの人に支えてもらったりします。

事務や用務の方々は教員と職種は違いますが、それぞれの仕事を通して、子どもたちの学習環境を少しでも良くしたいという思いを実感させてくれます。その姿から管理職として多くの気づきをいただいています。

一つの職場に一人として同じ人はいません。お互いの違いを尊重し、学び、そして支え合うことが大切です。そして、働き方に「同じこと」を求めるのではなく、「同じ実現したいこと」に向かって、その人なりにそれぞれの力を発揮し、家庭や地域、その他多くの関係者の力も得て、みんなが安心できる学校でありたいと思っています。