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学力を伸ばす学級経営Q&A

神山 安弘

専修大学客員教授

「主体的・対話的で深い学び」の視点から学級経営を考えるヒントを紹介します。

神山安弘(かみやま・やすひろ)

1951年横浜市生まれ。専修大学客員教授。元東京都江東区立明治小学校統括校長。文部科学省「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議委員」などを歴任。

第12回 3月の学級づくりのポイント 
 ~新年度を迎えるために~

2020.3.9

Q.1 3月になりました。今年度、最後の月です。この一年間を振り返り、新しい学年を迎える子どもへどのような「言葉かけ」をすればいいのでしょうか。

◆3月は子ども一人一人が1年間の仕上げと振り返りをし、4月からの新しいスタートに意欲と自信をつなげる大切な時期です。子どもの学習や生活の両面から、努力したことや挑戦したことを想起させ、できるようになったことや十分にできなかったことに気付かせる自覚させることが大切です。

(1) 子どもの自覚を促す4つの言葉かけ

・学年のスタート時に立てた目標を振り返り自分の努力を実感させる 
・多くの学びの中で自分が挑戦したことや頑張ったことに気付かせる
・係や当番などで自分らしい実践をしていたことに気付かせる
・自分が成長した要因を振り返り家族や友だちに支えられている自分に気付かせる

(2) 教師の言葉かけのポイント

・子どもの個性を理解し、「タイミング」を逃さず伝える 
・場面や事例など具体的な「事実」を伝える  
・子どもが変化する機会となるように「心」から伝える 

(3) 子どもの心に響く言葉かけ3パターン

・「You」メッセージ⇒ あなた(〇〇さん)は、頑張ったね!
・「I」メッセージ   ⇒ 私(先生)は、あなた(〇〇さん)が頑張ってくれてとても嬉しい!
・「We」メッセージ ⇒ あなた(〇〇さん)が、頑張ったおかげで私たち(先生やクラスの仲間)までやる気が
              出てきたよ!

Q.2 4月から新学習指導要領が全面実施されます。子どもに「分かる」「楽しい」授業を実践するために、「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善はどのようにすればいいのでしょうか。

◆4月から新学習指導要領が全面実施されます。それに伴い教科書が新しくなります。まず、春休み中に新年度に使用する新しい教科書を開き、これから子どもと一緒に学ぶ内容に目を通し、教材を理解することが大切です。

今日、学びの場や方法が多様化し「学校で学ぶ」ということの意味が問われています。学校でなければできない学びとはどのような学びなのか、この問いの答えを見つける手がかりとなるのが「主体的・対話的で深い学び」です。

小学校教育では「主体的・対話的で深い学び」は、決して新しいものではなく、これまでも実践されてきています。知識を得るだけでなく、繰り返しの習熟だけでもない、他者との「関わり」の中で深まっていく学びです。このような学びをもう一度見直し、学校の授業をこの視点から見つめ直して授業改善を進めていくことが大切です。

「学校で学ぶ」ということは、集団の中で多様な異なる視点をもつ子どもたちが、互いの考えを交流しながら「学び合う」ことです。この「学びの力」は未来の社会へつながる学びだといえます。

◆「主体的・対話的で深い学び」は授業改善に向かう方向です。授業づくりを進める中で授業のどこに着目して改善すればいいのか、ポイントを明確にして実践することが大切です。

(1)「主体的な学び」について
 「主体的な学び」は子どもが問題意識をもち自分の学びを成立させることです。
 そのために、大切にしたい4つのポイント。

①「興味や関心」をもっている
  子どもの「あれ?」「なぜ?」「どうして?」などの疑問を大切にする
②「見通し」をもっている
  子どもが学習の進め方の計画が分かるように単元や本時の計画を示す
③「粘り強く」取り組んでいる
  子どもに最後までやり遂げる力を育み、学びの達成感や充実感を実感させる
④自分の学びの「振り返り」ができる
  授業について子どもが自分の言葉でまとめ、友だちや学級に伝えることができる

(2)「対話的な学び」について
 「対話的な学び」は友だちと協力し合いながら学びを成立させることです。
 そのために、大切にしたい4つのポイント。

①子どもが互いの「言葉」を受け止め合う
  子どもに「伝える力」「よく聞く力」を育み、一人一人を大切にする学級をつくる
②予想を出し合い「見通し」を共有する
  授業で異なる考えや視点を出し合い、これから学習する学びについて話し合う
③子どもが協力して「課題」を解決しようとする
  みんなで力を合わせて調べたり、考えたりすることで学びを深め課題を解決する
④異なる立場や視点から「個人」や「集団」の考えを深める
  子どもが集団で学ぶことで「成長できた」「もっと成長したい」と感じる学び

(3)「深い学び」について
 「深い学び」は子どもたちの「主体的な学び」と「対話的な学び」を充実させ、授業の質を向上させることです。
 そのために、大切にしたい4つのポイント。

①「見方・考え方」を働かせる
  教科等の知識や技能を活用し「視点」を明確にしたり、「思考」をめぐらせたりする学びを構成する
②「深い理解」をする
  物事を大きく捉える視野や大きな概念の形成など学びを深める視点をもつ
③「問題解決」の思考や構想を立てる
  問題を見いだしたり解決策を考えたり、思いや考えを創造するプロセスを明確にする
④「深い学び」の姿
  授業を始めた時点と終わりの時点の子どもの学びの変化を捉える方法を位置付ける

◎最後に、今回をもちまして「学力を伸ばす学級経営Q&A」の連載を終了いたします。
ご愛読いただきありがとうございました。心から御礼申し上げます。 

Illustration: みずうちさとみ