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5年「銀色の裏地」

「こんな授業ができます!」 令和6年度版小学校国語

2024年4月1日 更新

茅野政徳 山梨大学教職大学院教授

5年「銀色の裏地」の授業づくりのアイデアを紹介します。

揺れ動く心と関係を読み取ろう

単元観

この物語は、三人称限定視点で書かれており、語り手は「理緒」の心に入り込んでいる。そのため、他者にも見て取れる気持ちだけでなく、「理緒」の隠された胸の内まで読者は知ることができる。

「理緒」の心は、他者との関わりの中で変化していく。元クラスメートの「あかね」と「希恵」、「お母さん」、そして「高橋さん」。本単元では、それぞれの人物との関わりを通して変化する「理緒」の心情を追っていく。その際、人物どうしが互いをどう思っているのかなどを分かりやすく示すために、簡単な図式化を取り入れるのも本単元の特徴である。また、「理緒」の心情の変化に重要な役割を果たすのが、「銀色の裏地」など空の描写だ。誰が、どのように空を語っているのかに注目したい。

なお、本単元では「人物像」という用語を新たに学ぶ。中学年では、登場人物の性格を想像する学習に取り組んでおり、「人物像」は、性格や特徴などを総合的に捉えた発展的なものといえる。

単元扉のリード文には、「あなたにも共感できるところはあるでしょうか。」と書かれている。学習の手引き「まとめよう」の欄にも、「自分の経験と重ねて感じたこと」という表現が使われている。自分と同じ年頃の「理緒」の心に寄り添いながら、5年生最初の物語文を読み進められるとよいだろう。

単元の指導目標

◎「理緒」の心情や、周囲の人物との関係などについて、描写を基に捉えることができる。[思C(1)イ]
◎図による語句と語句との関係の表し方を理解し使うことができる。[知(2)イ]
〇比喩や反復などの表現の工夫に気づくことができる。[知(1)ク]
〇粘り強く、「理緒」の心情の変化や、周囲の人物の関係を捉え、進んで印象に残ったことを伝え合い、登場人物にメッセージを送ろうとする。[学びに向かう力、人間性等]

単元の授業過程(全5時間)

学習活動 評価規準と評価方法
①題名から内容を想像する。
②「問いをもとう」を確認し、読む構えをつくる。
③音読し、印象に残ったことを書き、発表する。
④印象に残ったことを基に、学習計画を立てる。
〇「問いをもとう」を確認し、学習計画を立て、今後の学習に見通しをもっている。[記述]
①「理緒」の心情や、「あかね」と「希恵」との関係が分かる言葉や文に線を引く。
②「理緒」の心情や、「あかね」と「希恵」との関係を簡単な図に表す。
③図を見せ合い、質問したり書き加えたりする。
【思C】「理緒」の心情や、「あかね」と「希恵」との関係について、描写を基に捉えている。[記述・発言]
【知】図による関係の表し方を理解し使っている。[記述]
3 ①「高橋さん」の人物像や、「高橋さん」に対する「理緒」の心情の変化が分かる言葉や文に線を引く。
②「理緒」から見た「高橋さん」の人物像や、「高橋さん」に対する心情の変化を簡単な図に表す。
③図を見せ合い、質問したり書き加えたりする。
【思C】「高橋さん」に対する「理緒」の心情や、「高橋さん」との関係について、描写を基に捉えている。[記述・発言]
【知】図による関係の表し方を理解し使っている。[記述]
4 ①「空」に関する表現に線を引く。
②「理緒」の心情と「空」の表現を結び付け、図に表す。
③図を見せ合い、質問したり書き加えたりする。
【知】「空」に関する表現の工夫に気づき、「理緒」の心情を捉えている。[記述・発言]
5 ①強く印象に残ったこととその理由を書く。
②書いたことを伝え合い、新たに考えたことや感じたことをまとめる。
③「理緒」か「高橋さん」にメッセージを送る。
④学習全体を振り返る。
【態】「理緒」の心情の変化や、「理緒」と周囲の人物の関係を振り返って、印象に残ったことを伝え合い、登場人物にメッセージを送ろうとしている。[記述]

 

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