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6年「ぼくのブック・ウーマン」

「こんな授業ができます!」 令和6年度版小学校国語

2024年9月27日 更新

岡田博元 お茶の水女子大学附属小学校教諭

6年「ぼくのブック・ウーマン」の授業づくりのアイデアを紹介します。

異なる世界を読む

単元観

本単元は、異文化に触れることを意図した単元で、令和6年度版教科書より新たに掲載された、翻訳児童文学を教材としている。

単元名に示したように、1930年代のアメリカ山間部のある家庭を描いた場面設定は、現代の日本の子どもたちにとって、ある種の異世界である。主人公の語りにちりばめられた、当時の生活を示唆する言葉を関連づけながら、主人公が生活している状況を豊かに想像できることが、言葉を通して異なる世界を経験していく際に必要な力といえる。

また、主人公「カル」の「ブック・ウーマン」に対する見方が変化するのとともに、本を読むことに関わる描写も変化していく。一人称視点の比較的短い文章の構造は分かりやすいが、そこに置かれた言葉が何を表しているかを読むには、明示されていない行間を想像で埋めていく必要がある。

さらに、本というメディアがもつ力を題材とした本作を通して、本を通して世界を知ることの意味や価値を捉え直す機会とすることができる。

単元の指導目標

◎物語の内容と自身の読書経験を結び付け、自分の考えをまとめることができる。[思C(1)オ]
○物語を通して、本や読書の意義や価値に気づくことができる。[知(3)オ]
○人物のものの見方が分かる表現に着目し、主人公の人物像とその変化を読み取ることができる。[思C(1)エ]
○粘り強く、物語の内容や登場人物の変化と自身の読書経験を結び付け、進んで自分の考えをまとめようとする。[学びに向かう力、人間性等]

単元の授業過程(全4時間)

学習活動 評価規準と評価方法
1 1 ①普段読んでいる作品と翻訳作品の違いを意識する。
②教師の範読を聞いたり、交代で音読をしたりして、作品の全体像をつかむ。
③全文を通読し、これまでの「読むこと」の学習経験を基に、鍵になりそうな言葉、疑問を感じた言葉、他の場面とのつながりがある言葉などに見当をつける。
④作品を読み解くために、中心となる問いを考える。
【思C】感度を発揮して、鍵になりそうな言葉、疑問を感じた言葉、他の場面とのつながりがある言葉などに着目している。[教科書に付けた印]
【思C】作品全体を考えるための問いを立てている。[ノート]
2 2 ①短い時間で作品を読み解くために、中心となる問いを絞り、学習の見通しをもつ。
②「カル」の人物像や変化について話し合う。
・「カル」の生活や考え方が表れた表現を集める。
・「カル」の変化が分かる言葉を取り上げる。
【思C】言葉に着目したり、関連づけたりしながら、「カル」の人物像や変化を読み取っている。[教科書・ノート]
3 ①「カル」の変化を読むことで、「ブック・ウーマン」に対する見方がどう変わったのかを考える。
・この作品のターニングポイントを考える。
②本を読めるようになった「カル」の喜び、本によって「カル」の生活がどのように変わったのかを想像する。
③題名について、考えを出し合う。
【思C】「ブック・ウーマン」や本に対する「カル」の見方の変化を読み取り、書かれていない部分を想像している。[発言]
3 4 ①題名「ぼくのブック・ウーマン」について考える。
②作品に付ける副題を考える。
③単元の学習の感想を書き、自分と本の関係を言語化する。
【思C】作品の題名や副題を考えることで、自分の経験とつなげて人物の変化を意味づけ、考えをまとめている。[発言・ノート]
【知】物語を読み、感じたことや考えたことを話し合うことを通して、本や読書の意義や価値に気づいている。[観察・発言]
【態】粘り強く、物語の内容や登場人物の変化と自身の読書経験を結び付け、進んで自分の考えをまとめようとしている。[発言・ノート]

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