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Q5. 絵本の分類のしかたを教えてください。(その1)

読書Q&A 学校図書館(理論編)

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。

A(回答)

さて、いよいよ絵本の分類ですが、学校図書館でいちばん困るのは、低学年の部屋と高学年の部屋に分けられることなのです。その低学年の部屋というのは何かというと、つまりは絵本の部屋なわけですね。でも、絵本が小さい人のものだったのは、遥か30年も前のこと。今は大人用の絵本のほうが、子ども用の絵本より出版点数が多いくらいで、しかも、子ども用でも高学年でないとわかんないよね、という本が増えているのです。

子どもは学年で分けられるかもしれませんが、本は年齢では分けられません。ですから低学年、高学年で本を分けるのは本質的な分類とはいえません。特に、お客様を中に入れてじかに本を見てもらう方式(開架式(かいかしき)と言います)の図書館は、そういう分類をされると成立しないのです。なので、既に廃棄してしまったものは別として、まず学校中の絵本を一か所に集めてください。驚くほどあちこちから出てくる学校が結構あるのです。

集めたら次に、戦争、核、郷土を扱った本を抜いてください。郷土にはその町出身の作家とかも入れていいです。そして今まで抜いた、物語などの戦争、核、郷土の本に混ぜて置いてください。つまり、これは今までさんざんお話ししてきた“別置”です。まずこの3種類を抜く……。次に、民話、神話、伝説を抜きます。厳密に言えば、神話と伝説は心理・宗教に、民話は民俗学に分類されるけど、小学校はいっしょにしてかまわないでしょう。

要するに、だれが書いたかはっきりしていない、たくさんの人たちが長い時間かけて作り上げてきた物語は、だれが書いたかわかっている、特定できる個人が作った創作とは別にする、と考えるのです。この両者はエネルギーの方向性が違うので、混ぜておくと何が並んでいるのかよくわかんないなあ、という棚になってしまうのです。そうして壊れた本、破けた本、背中が色あせてタイトルが読めない本、古いなあと思った本は抜きます。これで三分の一くらいは片づいて、割合きれいになったはずです。

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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