読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
さて、古い本をまずどかし(廃棄できなかったら準備室に並べるか、段ボールに入れるかしてもいいです。つまり、お店をやるのだと考えて、店に並べられない、並べたら他の商品の足をひっぱるようなものは倉庫にしまうのです)て、戦争の本、核の本、郷土資料、民話・神話・伝説、を抜いたら、今度は自然科学を抜きましょう。小学校には赤ちゃん本コーナーはいらないので、それが完全に物語なら別ですが(ディズニーの“ニモ”は魚に入れません、もちろん)、“さかな”という本は、基本的に絵本から魚類に分類しなおします。この自然科学をきっちりやるかやらないかが、小学校の図書館が成功するかしないかの鍵になりますので、ここは真剣にやってください。
全部いちどきには無理ですから、まずわかりやすいところで、魚と鳥の本を抜いてみて。そうして絵本Eから、魚類は487、鳥類は488という分類記号をつけなおしてください。えっ? 学校図書館は2けた分類ですって教えられたけど? って人もいると思うけど、最初それ聞いたときは仰天したよ。だって、それって小学生とちゃんとつきあったことのない人のせりふだもの。2けたまでしかとらないってことは、猫も昆虫もカエルもいっしょってことなんだよ。そんな無茶な! 中学だって3けたまでとるんです。小学校は、昆虫と脊椎動物と哺乳類は4けたまで分けないと子どもたちは喜ばないよ。数字二つのほうが易しいと思うかもしれないけど、2けたにしたらいろんなものがミックスになっちゃう。子どもの頭って一対一対応だから、詳しくしたほうがわかりやすくなるんです。
イラストシールが貼れると、一目瞭然だから楽なんだけどね。魚には魚の絵を貼るんだから。そうでなければ記号を変えるしかないから大変だけど、しかたない。図書館の本の分類記号は正しいものが一つしかないって思ってる人が大部分だと思うけど、その本をどこに入れるかはその図書館を預かる司書が決めるんです。だって分類体系を作るのが仕事なんだから。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。