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第3回 「体験的な学習」とは

道徳キーワード

2017年1月10日 更新

学習指導要領の中から、ぜひ知っておきたい「キーワード」を取り上げます。長年にわたり道徳教育をリードしてきた6人の先生が、リレー形式で解説します。

解説:光村図書編集委員会

道徳的行為に関する「体験的な学習」とは

「体験的な学習」とはどのようなものなのでしょう。「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」(平成27年7月)では、「道徳的行為に関する体験的な学習等を取り入れる工夫」として、次のような三つの例が示されています。

道徳的行為に関する体験的な学習の例

  1. 実際に挨拶や丁寧な言葉遣いなど具体的な道徳的行為をして、礼儀のよさや作法の難しさなどを考える
  2. 相手に思いやりのある言葉を掛けたり、手助けをして親切についての考えを深めたりする
  3. 読み物教材等を活用し、登場人物等の言動を即興的に演技して考える役割演技などの疑似体験的な表現活動を取り入れる

体験的な学習を取り入れるにあたっては、体験的な行為や活動そのものを目的として行うのではなく、それらをもとに、道徳的価値の意義や意味について考えていくことが大切です。それによって児童は、単に「知識」としてではなく、「実感」として、道徳的価値について考えを深めていくことができます。

「役割演技」を効果的に行うために

体験的な学習の一つ、「役割演技」は、あらかじめ用意されたせりふを言う「動作化」と違い、即興的に演技を行います。そのため、演者は、その場で、瞬時に対応のしかたを考えることになります。

役割演技を取り入れた授業では、「雰囲気だけ楽しくて、ねらいについて深まらない」授業になることがあります。それは多くの場合、全員で劇を演じたり、演じた後に漠然と感想を求めたりして、話し合いの焦点が定まらないことが原因です。そこで、次のような流れを意識して、役割演技を効果的に取り入れた授業に取り組んでみましょう。

道徳的行為に関する体験的な学習の例

  1. 資料を読み、発問する。
  2. 演者を選定する。
  3. 演者に役割演技をさせる。
    ※登場人物の心情や状況を十分理解している児童を、演者に選定しましょう。
  4. 観客に、演じられた場面について発見したことを発表させる。
    ※観客の発見を明確にすることで、道徳的価値について、多面的・多角的に考えていくことができます。
  5. 演者に、演じていたときに思ったり感じたりしたことを発表させる。
    ※演者の演じていたときの考えを明確にすることで、道徳的価値について、多面的・多角的に考えていくことができます。
  6. 明らかになったこと、分かったことを確認する。

キーワードまとめ 「体験的な学習」とは

「役割演技」などの、体験的な行為や活動を通じて、実感的に道徳的価値の意義や意味などについて、考えを深める学習。


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