夏休み! 子どもと楽しむ英語学習 3つのアイデア

2022.07.25

夏休みは、学習のきっかけづくりに時間をかける絶好の機会。特に、英語学習の入り口となる小学校段階では、楽しみながら、英語に苦手意識をもたず、英語のおもしろさに気づくことを意識したいものです。
そこで、小学校英語教科書『Here We Go!』の編集にも携わる土屋佳雅里先生(東京成徳大学助教)に、小学生が、保護者の方と一緒に家庭で取り組める学習アイデアをご紹介いただきました。

夏休みは普段できずにいることができる時間

夏休みは、時間や余裕のなさで日頃できずにいることができる貴重な時間です。子どもには「体験の夏!」にしてあげたい一方、夏休みは「学習面が不安」という声も。学習はしっかり続けさせたい……。保護者にとってはそれが正直な気持ちかもしれません。

また、英語に関していうと複雑な思いがあるようで、「勉強してほしいけど、嫌いになってほしくはない」という願いをよく耳にし、「英語を楽しみながら学べる方法は?」と模索する方も多いようです。

「エデュテインメント」とは

英語を楽しみながら学べたら……。でも、家庭でどう取り組んでいいかわからない……。そのため、英語のプログラムが用意されたテーマパークや課外教室などに申し込む方もいます。

楽しみながら学ぶものは「エデュテインメント」(edutainment)とよばれ、1980年代からよく登場するようになった「教育」(education)と「娯楽」(entertainment)の造語。テーマパーク・ゲーム・映画・インターネット・音楽など、娯楽に学びの要素を入れたものです。楽しく・おもしろく・もっと知りたい気持ちがないと自主的に学び続けるのは難しくなりますから、特に動機づけが大事になる学び始めの子どもには、エデュテインメントが有効な手段といえますね。

画像、「エデュテインメント」

「おうちでエデュテインメント」のすすめ

そこで、楽しく・おもしろく・無理なく・手軽に、夏休み以降も子どもが自ら英語を学び続けられるきっかけとなるような「おうちでエデュテインメント」として、「英語学習×3つのアイデア」をご紹介します。

「楽(ラク)」が大事なのは保護者の側にもいえることなので、無料で利用できるなど、気軽に取り入れやすいアイデアを選びました。ぜひ、お子さんと一緒に、時に励まし合いながら、英語を楽しんでみませんか。

1.絵本で英語!

身近で親しみのある絵本。既に日本語で読んだことがある絵本の英語版なら、絵の助けもあり、たとえ難しい英語が使われていても理解しやすくなります。英語の読み聞かせなんてハードルが高い……! という心配はいりません。インターネット上でネイティブによる英語絵本の読み聞かせ動画を無料で公開したり、電子bookを無料で公開したりしている出版社もあるので、そうしたものを活用してみましょう。

おすすめの絵本

(1)“The Very Hungry Caterpillar”/『はらぺこあおむし』
(2)“No, David!”/『だめよ、デイビッド!』

●日本語版、公開動画あり。

●低・中・高学年向き。

おすすめの読み聞かせサイト(動画)

“Oxford Owl eBook Library”

●人気の多読シリーズ130冊が無料で公開されている。会員登録(無料)は必要。

●電子book(eBook)。ページをめくりながら自分のペースで読むことができる。

●Audioボタンが付いている電子bookからは、読み聞かせ用の音声を聞くことができる。

●アクティビティがあり、楽しみながら語彙力をつけることができる。

●低・中・高学年向き。

“Storybook Nany Read Aloud” Kids Books Read Aloud(YouTube)

●再生速度が変えられる。初めは速度を遅くすると聞き取りやすい。慣れてきたらスピードアップを。

●絵本が豊富。

●低・中・高学年向き。

画像、絵本で英語!

2.映画で英語!

言語習得にとって、言語に対する微妙な感覚である語感を身につけることは非常に重要です。英語の語感を身につけるためには、たくさんの英語に触れることが欠かせないため、楽しみながら大量の英語に触れられる映画はとても効果的です。

映画は一生もの。語学面だけではなく、心も豊かにします。夏休みのこの機会に、映画を英語で観る習慣がつくといいですね。レンタルや動画配信(英語字幕付きのサービスかどうかをチェック)を利用してもいいですし、レンタル落ちの中古DVDなどを購入するのもいいでしょう。

まずは、子どもが好きな、既にストーリーを知っている映画を英語音声で楽しみましょう。洋画なら、英語音声のまま日本語字幕で観ます。例えば、ディズニー・長編アニメーション映画は、子どもが観ることを想定して制作されているので、理解しやすく、品のある整った英語が使われているのでおすすめです。

また、邦画なら、子どもにとってなじみのあるジブリ映画はおすすめです。ただ、邦画は多くの場合、英語音声はあっても日本語字幕は付いていませんので、日本語音声のまま英語字幕で観るようにするといいでしょう。ですから、これはある程度、英語の文字を追うことができる高学年向きでしょうか。

おすすめの映画

■ディズニー・長編アニメーション映画なら

(1)“Lion King”/『ライオンキング』

人生の名言がいっぱい! 大人になってからも心に留めておきたい言葉ばかり。

(2)“Beauty and the Beast”/『美女と野獣』

原作は18世紀のフランスの物語。英語の中にフランス語がちらほら……わかるかな?

■ジブリ映画なら

(1)“My Neighbor Totoro”/『となりのトトロ』

日本独特の文化・習慣や情緒の英語表現がおもしろい。「いただきます」「ごちそうさまでした」は英語で何と言う?

(2)“Spirited Away”/『千と千尋の神隠し』

子どもは千尋(千)に自分を重ね、共に成長を。アカデミー長編アニメ映画賞受賞など世界も認めるクオリティ。

画像、映画で英語!

3.教科書で英語!

それって当たり前じゃないの? と思われるかもしれませんが、夏休みは「教科書」を知るよい機会でもあります。最近の教科書が進化していることはご存じでしょうか? 紙の教科書にQRコードが付いていて、スマホなどのQRコードリーダー・アプリで読み込めば、歌・チャンツ、リスニングクイズなどの音源が家庭でも聞けるのです。ぜひ、お子さんと一緒に1学期に学んだ歌・チャンツを楽しんだり、2学期以降の学習内容を眺めたりしてみてください。


土屋佳雅里先生

土屋佳雅里(つちや・かがり)

東京成徳大学助教。小学校英語指導者育成(J-SHINE)トレーナー。

指導者の養成、各種教員研修にも携わる。光村図書小学校英語教科書『Here We Go!』著作関係者。共著書に『小学校 教室英語ハンドブック』(光村図書)、『小学校英語はじめてセット』(アルク)、『教室英語ハンドブック』(研究社)など。