
アクティブ・ラーニングQ&A
2016年5月19日 更新
冨山 哲也 十文字学園女子大学教授
今、関心が高まる「アクティブ・ラーニング」。先生方からの疑問にお答えします。
冨山哲也 (とみやま・てつや)
十文字学園女子大学人間生活学部児童教育学科教授。東京都公立中学校教員、あきる野市教育委員会、多摩教育事務所、東京都教育庁指導部指導主事を経て、平成16年10月から文部科学省教科調査官(国語)、国立教育政策研究所教育課程調査官・学力調査官。平成20年版学習指導要領の作成、全国学力・学習状況調査の問題作成・分析等に携わる。平成27年4月から現職。第1期<絵本専門士>。
第5回 「言語活動の充実」との違い(2)
Q:これまで言われてきた「言語活動の充実」とアクティブ・ラーニングとは、どのように違うのでしょうか。
A:課題解決的な言語活動を位置づけ、いっそうの指導の工夫をすることが、アクティブ・ラーニングにつながります。
前回(第4回)からの続きです。第4回の内容については、以下のリンクから。
主体的 ・ 協働的な言語活動にするために
いっぽう、課題解決的な言語活動を設定しても、指導のしかたによってはアクティブ・ラーニングにならないことがあります。わかりやすい例は、生徒が思い出したり考えたりすべき内容を、教師が説明してしまったり、マニュアル的なワークシートで示してしまったりすることです。これでは生徒が受け身になってしまいます。マニュアル的な手立てはつまずいている生徒への支援に用いることにし、まずは自力で考えさせるよう指導することが大切でしょう。

次に、考えを深めさせる場面で、協働的な学習を効果的に位置づけることが重要です。上図では、根拠を明確にして鑑賞文を書く段階に単元のポイントの一つがありそうです。
そこで、同じ作品を選んだ生徒どうしでグループを作り、考えを支える根拠の示し方について意見を述べ合う学習を設定します。その際、それぞれの根拠を肯定的に受け止めながら、よりわかりやすい示し方にするにはどう書いたらよいか、考えを出し合うことに留意させましょう。意見交換が通り一遍のもので終わってしまわないよう、教師は話し合いが深まった状態を具体的に想定して、グループごとに質問を投げかけたり、よい話し合いの内容を全体に広めたりするようにします。
改めて、アクティブ・ラーニングは全く新しい概念ではなく、特に国語科においては、課題解決的な言語活動の設定といっそうの指導の工夫をすることが、その趣旨の実現につながると考えるべきだと思います。