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みんなが楽しむ
生活科

田中 千草

元 京都市立桂徳小学校校長

毎日楽しく,魅力ある学校の中心になるような生活科実践のヒントをお届けします。

田中千草(たなか・ちぐさ)

横浜市生まれ。京都市内の公立小学校に勤務し,平成4年に生活科が教科化されて以来,積極的に実践・研究を重ねる。近畿地区小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会会長などを歴任。令和2年度版光村図書「せいかつ」教科書編集委員。

第3回 秋を楽しむ

2019.12.09

今回のテーマは「秋を楽しむ」です。

どんぐりは宝物

宝物がいっぱいの秋の到来です。なかでもどんぐりは最高の贈り物。休み時間になると子どもたちが校庭の植込みの木の下に群がっています。教室に帰ってくると,ポケットにはたくさんのどんぐり(正しくはアラカシですが)が入っています。どんぐりたちを大切に机の箱の中にしまいました。

数日たった教室は大騒ぎ。

「キャー,どんぐりから虫が出てきた。」

早速クラスの虫博士の出番。

「この虫はゾウムシっていうんだよ。大人になったらゾウみたいな鼻のある虫になるんだ。」

どんぐりの宝物で楽しく遊ぶためにゾウムシには申し訳ありませんが,我が家のシチュー用の鍋がどんぐりの茹で鍋になりました。茹でどんぐりのできあがりです。家族は横で嫌な顔をしていましたが。

さらに,出てきたのは虫だけではありません。

「どんぐりから芽が出た。」

袋の中を見ると,どんぐりのとがった先からにょきっと白いものがでています。すかさず,どんぐり博士が言いました。

「どんぐりのとんがったところから初めに出てくるのは根っこなんだ。そして次に芽が出るんだよ。」

教室中が一瞬シーンとなりました。

「それならこのどんぐりを植えようよ。」

植木鉢に植えて,春を待つことになったのです。

宝物のどんぐりは楽しい遊びも教えてくれました。どんぐりゴマ,どんぐりマラカス,どんぐりやじろべえ,どんぐり転がしなどなど,子どもたちの想像は広がります。

すてきで,心に残ったどんぐりアートは,どんぐり32個にクラス全員の顔を描いて並べた作品です。もちろんみんなより少し大きなクヌギは先生になりました。どの顔も楽しそうに笑っています。すてきな秋の教室になりました。

しいの実はおいしく食べられます。食べられるしいの実はみんなが知っていて,拾うのは競争でした。朝一番にみんなで拾いに行って,フライパンで煎って食べました。香ばしく,おいしい秋の宝物になりました。

この子どもたちが4年生になって総合的な学習の時間に「川」をテーマに環境の学習をしました。川の源流にあるお寺の和尚さんの話は「森が水をつくる。森の木々は広葉樹,どんぐりの木を育ててください。」というものでした。どんぐりを育てて5年生なったら届けに行こうと,子どもたちのおもいは広がりました。

宝物がいっぱいの秋

秋は宝物がいっぱいです。町の中でも秋の宝物は見つけられます。街路樹のスズカケの木の実やイチョウの木のぎんなん,カエデの種のプロペラ。身の回りには秋の宝物がいっぱいです。遠くの公園に出かけなくても宝物は身近にたくさんあります。

ぜひ子どもたちと「秋のたからもの」を楽しんでください。

たくさんの秋の宝物で楽しんだ子どもが『見つけたよカード』にこう書きました。

「秋さん,秋さん,宝物をいっぱいありがとう。つぎの冬も,楽しいと信じているよ。」

次回は,2月公開予定です。

Illustration: フジイイクコ