教科書クロニクル 中学校編
2023年6月29日 更新
光村図書出版
あなたが小学生・中学生だったころ、国語の教科書にはどんなお話が載っていたでしょう。「教科書クロニクル」で記憶をたどってみませんか。
教科書クロニクル 中学校編
2023年6月29日 更新
あなたが小学生・中学生だったころ、国語の教科書にはどんなお話が載っていたでしょう。「教科書クロニクル」で記憶をたどってみませんか。
米倉斉加年
太平洋戦争のさなか、父は戦争へ行き、残された家族はいつもひもじく、母は弟に飲ませるお乳も出ません。ときどき配給されるひと缶のミルクを、「僕」は何回も盗み飲みしてしまいます。それが、生まれて間もない弟の大切な食べ物と知りながら……。
家族はやがて山の村に疎開します。母は慣れない田植えを手伝い、自分の着物を米や山羊のミルクと交換しながら、子どもたちを必死で守っていました。
ある日、弟は死にました。栄養失調でした。小さな棺に弟を寝かせて、母は初めて泣きました。それからしばらくして、戦争は終わりました。
ヘルマン・ヘッセ/高橋健二 訳
少年時代、「僕」はチョウの収集に熱情を注いでいた。隣人のエーミールは宝石のような標本を持っていたので、「僕」は彼を妬んでいた。
ある日、彼が手に入れた珍しいチョウを見に訪ねるが、誰もいない部屋の中、その美しさに欲望を感じて盗みを犯してしまう。すぐに良心が目覚め、元の場所にチョウを返すが、ポケットにつっ込んだそれはつぶれていた。
その後、自分の罪を告白した「僕」を見つめて、彼は言った。「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。」家に戻った「僕」は、自分が収集したチョウを粉々に押しつぶした。