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1年「はじまりの風」(藤倉遼介先生)

中学校国語科授業リポート

2026年4月10日 更新

国語教科書編集部

2025年5月12日にお茶の水女子大学附属中学校で行われた藤倉遼介先生の授業(1年生)を取材しました。

授業の全体像

「はじまりの風」(1年)は、迷いや焦りを抱えていた主人公の「レン」が、ある日学校の廊下で1枚の絵と出会ったことで、新しいことに踏み出そうとする姿を描いた作品です。

授業が行われたのは、5月の中旬。ちょうど部活動の入部希望の提出が締め切り間近の時期です。教室の中には、既に入る部活を決めた生徒もまだ悩んでいる生徒もいました。そんな生徒たちが読む「はじまりの風」。藤倉先生は、授業の目標を、主人公「レン」の心情の変化を考えることとしました。

学習の流れ[全4時間]

第1時

「はじまりの風」とはどんな風かを予想して、本文を通読する。

第2時

本文の描写を基に、心情曲線を描く。

第3時

心情曲線をグループで共有し、「レン」の心情の変化のきっかけを話し合う。

第4時

「風」にまつわる好きな言葉を辞書で探して紹介する。

第2時:本文の描写を基に、心情曲線を描く

藤倉先生が教える「文学的文章のポイント」

授業の初め、藤倉先生はスライドに次のポイントを示しました。
【文学的文章のポイント】
[人物]+[場面]=[心情]

例えば、同じ「泣く」という人物の行動でも、結婚式で涙を流している人とお葬式で泣いている人とでは、心情はまるっきり異なります。人物の心情を理解するには、それがどんな場面で起きていることなのかを捉える必要があることを伝えました。
この説明の後、ワークシートを配って、実際に心情曲線を描いていきます。

「文学的文章のポイント」と場面分けを示したスライド 画像
「文学的文章のポイント」と場面分けを示したスライド。
ワークシート。心情曲線を描く欄とその根拠となる本文の記述を抜き出す欄とに分かれている。 画像
ワークシート。心情曲線を描く欄とその根拠となる本文の記述を抜き出す欄とに分かれている。

先生からの言葉かけ

  • 「心情曲線が上がるときのきっかけは何だろう?」
  • 「『レン』の心情がわかる本文の記述は? その心情はどのくらいプラス? マイナス?」
  • 「心情曲線は傾きの度合いも大事。どういう上がり方をしているか考えてみよう。」

生徒の様子
「レンは、取り残されたような気がした。」(P23L2)、「レンは、さっきよりもずっと軽い足取りで、いちょう並木を抜けて家に帰った。」(P24L17)など、生徒たちは、心情、行動を表す表現や情景描写に着目して、悩みながらも楽しそうに心情曲線を描いていました。
また、先生の言葉かけを受けて、繰り返し何度も本文を読み返しながら、心情のプラス・マイナスの度合いや心情曲線の傾き加減を工夫し、心情の変化を細かく表現している姿も見られました。

授業を終えて

先生からのひと言

以前は高校の教員をしていました。分析的に文学を読む高校の一歩手前の段階として、中学校では、その文章を読んで、どこからなぜ、そのイメージや感情を受け取るのかを俯瞰的に考えることが必要かなと思っています。今回の授業は、人物の心情や展開を記号化したり抽象化したりして分析・分類する経験の一つとして実践しました。

編集後記

授業後、完成した生徒の心情曲線を拝見しました。心情曲線の傾きの度合いを細かく調整したり、直線と曲線を使い分けたり、生徒一人一人がさまざまな工夫を凝らして、読み取った心情の変化を表現していました。特に、心情が変化するきっかけとなる場面で、「『風』が吹いている!」と書き込んでいる生徒もいて、「はじまりの風」という題名と結び付けて考えていることが伝わってきました。

2025年5月12日取材
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