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第1回 ノートは思考の基地(1)

青山先生の国語教室

2016年5月24日 更新

青山 由紀 筑波大学附属小学校教諭

子どものモチベーションをアップさせる、国語の授業アイデアをご紹介します。

第1回 ノートは思考の基地(1)

子どもたちは、ノートに対してどのような意識をもっているでしょうか。毎日あたりまえのように使っているノートは、板書を記録するだけのものではなく、思考力・表現力を養うことができる重要なツールです。「書くこと」は、確かな力を育てます。なんとなくわかったつもりになっていることが、書くことによって整理されたり、わかっていないことが自覚できたりします。「アクティブ・ラーニング」が必要といわれる今こそ、自分の思考過程を記録することができるノートがいっそう大切になってくるでしょう。メモしか取れないのでは、「アクティブ・ラーニング」が効果を発揮しません。子どもたちには、「世界に1冊の『宝物のノート』を作る」という意識で、ノートに向き合ってほしいものです。

では、子どもたちにどのようなノート指導をしたらよいのでしょうか。ここでは、いくつかのポイントをご紹介したいと思います。

◆マス目のノートを使う

マス目があると、箇条書きや小見出しの頭を揃えるときに便利です。下記のノート例のように、項目の頭が揃っていると、学習した内容がわかりやすくなります。また、図や表を書いたり、資料を貼付したりするときにも便利です。

◆ノートに入れる項目

  • 日付
  • 授業回数(年間を通して回数を記入。授業内容を振り返るときに、通し番号があると便利です)
  • 板書、教師の言葉、友達の発言、自分の考えなどの授業記録
  • 学習のまとめ(どんなことを学習したか、自分の言葉で整理)
画像、ノート例
ノート例(「白いぼうし」の授業記録)。マス目を利用して、項目の頭をきちんと揃えている。

◆ノートは3色で

ノートは、後から見たときにわかるように作っておくことが大切です。そのためには、見た目にもわかりやすく整理したいものです。子どもたちは色ペンを使いたがりますが、色数が多すぎるとわかりにくくなります。色ペンを禁止するのではなく、効果的に使う方法を早い段階で教えておくとよいでしょう。
また、黒板で見やすい色とノートで見やすい色は違いますので、最初に次のようなルールをつくっておきます。

   黒板     ノート

  • 白チョーク → 鉛筆(黒)
  • 朱チョーク → 赤鉛筆
  • 黄色チョーク → 青鉛筆
  • 緑と青は黒板では見えづらい色なので、ノートには書かなくてよいもの(1マス空ける、1行空けるなど)を示すときに使います。
  • 朱チョークが見えづらい場合はオレンジがおすすめです。

ルールがあると、板書をスムーズに書き写すことができますし、整理された見やすいノートになります。

◆ノート計画

詩を視写したり、説明文の構成について考えたりするとき、ノートのページがまたがるとわかりにくくなることがあります。そのようなときは、あらかじめ「今日は、ノートを見開きで収めましょう」と声をかけるようにしています。「板書計画」と同様、ノートにも計画が必要なときがあるのです。わかりやすいノートにすることで、気づきが生まれやすくなりますので、教師があらかじめこのような指示を出すことも欠かせないポイントです。


ノート作りをする際、特に意識させたいのは、授業の中で聞いたことを、聞いた順番通りに全て書くのではなく、大切なことは何なのかを考えて、自分の言葉で整理することです。ポイントを押さえて記述したり、見出しを立ててわかりやすくしたりすることは、学んだことを一般化させる力を養います。これが、さまざまな場での活用力へとつながっていくのです。(談)

次回は、ノートの回収のタイミング、評価方法についてご紹介します。

青山由紀(あおやま・ゆき)

東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。日本国語教育学会常任理事。全国国語授業研究会常任理事。著書に『古典が好きになる』(光村図書)、『板書 きれいで読みやすい字を書くコツ』(ナツメ社/樋口咲子共著)、『子どもを国語好きにする授業アイデア』(学事出版)などがある。光村図書小学校『国語』教科書編集委員を務める。

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