読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
Q11では「分類は必要なところまでやって、必要でなくなったらやめる」というところで、「そんなことしたら桁数がバラバラになるじゃないですか?」という質問をいただきましたが、当然そうなります。それでいいんです。一つの図書館で桁数が同じところなんてありえませんよ。だって、どんな図書館だって「ここは他よりも詳しく分けたい」というところがあるはずですから。もし分類の桁数がそろっている図書館があったら、そこはちゃんと仕事のできる司書がいない図書館なんじゃない?
「児童図書館は二桁まで…」などというやりかたは、実際に子どもの図書館になど来たことのない、誠実ではない図書館学者か、30年前の本しか知らないか(それも不誠実だけどね。とりあえずプロを名乗るなら)、何も考えてないか、のどれかでしょう。
どこの世界でもそうですが、尊敬できる、きちんとした仕事ができる学者って本当に少ないんですよ。大学に入ったときもすごくがっかりしましたが、学校図書館を作るときになって、もっとがっかりしました。図書館情報学の専門家が書いた本が使えないんです。「この人たち、学校図書館にきたことがあるのか? 子どもの相手をしたことあるのか?」と思いましたね。まぁ、子どもの相手をしてるからよいというわけでもなく、長年学校図書館をやってきた人たちの書いた本がこれまた使えなかったりして・・・。本当に「日本ていうのはどういう国なんだ」と思いましたよ。
NDCの5は技術(工業)、6は産業ですが、子どもの本のなかには、“工業・産業”なんて本だってあって、一桁だって分類できなかったりするんだよ? 児童図書館の分類は一桁から四桁のバラバラな桁数で出来ているんです。1000冊くらいしか本がなかった頃なら二桁でもやっていけたのか、やっていけなくても強引にやってたのか…。
今の小学校は8000から15000冊の規模なんですから、そのやり方では無理なんです。分類体系は本の量によって変えないといけないし、変えるものだし、それを考えるのが司書の仕事なんですよ。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。