読書Q&A 学校図書館(理論編)
2015年1月1日 更新
赤木かん子 児童文学評論家
どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。
A(回答)
漫画を置く場合、まず、やり方は二つ。
貸すか貸さないか…です。とにかく図書室に来てもらいたい、もしくは授業中に読んで困る、という苦情がくるのなら、貸さないのも方法です。
でも、本来は貸すべき、だとわたしは思うけどね。
本の読み方、スタイルをこちら側が決め付けるのは失礼なことでしょう。
ああ読め、こう読めなんて。
次に受け入れの仕方ですが、漫画を‘漫画’というジャンルで分類するのが旧来のやり方ですが、それはもう実情に合わないと思います。 昔は専門的な漫画はなかったのですから、当然漫画の分類は‘漫画’だけだったのですが、今は『名探偵コナン』はミステリーに、『キャプテン』はスポーツに入れるほうが使い勝手がいいです。
この分類は、どっちに入れたらいいか微妙、というものも数多くありますが、わからなかったら子どもにきいてください。それがいちばん的確!
日本十進分類の1998年の第9版から、絵本と漫画は本と同じに、経済の本は経済学に分類してもいいことになったんです。この分類方法で並べると、本棚があちこち穏やかな柔らかい印象になるし、漫画があるな感がかなりなくなります。
「ずらっと漫画が図書室に並ぶのは目立ちすぎる。」というのなら、貸してしまえばみんななくなるので、図書室には漫画はないことになりますよ。
生徒数が少ないとかで、貸してもなんともないのならばもちろん貸してください。
まず装備、分類、それから置き場所、それから貸し方、この四点を押さえれば運営方法はいいでしょう。
それから、ソフトカバーの装備はできるなら“穴あけ糸綴じ”をしてね。
赤木かん子
児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。