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must と have to の違いは?

子どもと保護者の「英語Q&A」

2025年9月10日 更新

光村図書 校閲課

保護者の方が、お子さんの学習を見てあげるとき、自分が学んだ英語とちょっと違うところがあったり、子どもの素朴な疑問に答えるのが難しいことがあったりするかもしれません。
このコーナーでは、教科書の校閲を担当しているメンバーが、小・中学校で学ぶ英語に関する保護者の方のさまざまな疑問を取り上げて解説していきます。

「~しなければならない」という意味の must と have to の違いを教えてください。

must は、話し手が自分の意思や感情に基づいて「~しなければならない」と言うときに使います。
それに対して have to は、話し手以外の人の主張や周囲の事情など、客観的な事柄に基づいて「~しなければならない」と言うときに使います。
have to のほうが比較的穏やかな表現です。

【I must~の文】
話し手(I)が自分で「~しなければならない」と考えている表現です。
(例)“I must help these people,” Sugihara thought. (光村図書中学校教科書『Here We Go!』3年)
   「この人たちを助けなければ」と杉原は考えた。

【You must~の文】
話し手が相手(You)に対し「~しなければならない(=しなさい)」と考えている表現です。
You must~は、上の立場の人が命令するときに使う場合が多い表現です。使用場面に気をつけないと押しつけがましい言い方になることもあるため、口語ではあまり多くは使われず、have to で代用されることもあります。
(例)You must calm down. (『Here We Go!』2年)
   落ち着きなさい(あなたたちは落ち着かなければならない)。

【have to~の文】
have to は、周囲の事情や規則などといった外的要因により「~しなければならない」という状況を表します。
(例)Teachers have to do a lot of preparation for each class. (『Here We Go!』2年)
   先生方は授業ごとにたくさんの準備をしなくてはならない。
(例)I have to leave Japan. (『Here We Go!』3年)
   私は日本を離れなくてはなりません。

上記のようなおおまかな意味上の違いがあるものの、くだけた話し言葉では have to が使われ、堅い書き言葉や掲示文で must が使われることもあります。
また、否定文では must not (mustn’t) は「~してはならない」と「禁止」を表し、don’t have to は「~しなくてもよい」と「不必要」を表します。

(例)You must not leave your group. (『Here We Go!』2年)
  グループから離れてはいけません。
(例)You don’t have to answer if you don’t want to. 
  答えたくなければ答えなくていいですよ。

Illustration:  Mimei Umimachi

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