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「陰」と「影」には、使い方の違いがあるのでしょうか。

子どもと大人の「ことばQ&A」

2023年7月7日 更新

光村図書 校閲課

ふだん何気なく使っている言葉も、ちょっと立ち止まって考えてみたら、いろいろおもしろいところが見えてきます。
このコーナーでは、教科書の校閲を担当しているメンバーが、言葉をめぐるさまざまな疑問を取り上げて解説していきます。

「陰」と「影」には、使い方の違いがあるのでしょうか。

7月に入り、とても暑くなってきました。
でほっと一息ついた後、強い日差しの下に出てみると、くっきりと黒いが地面に映ります。

どちらの漢字も「暗さ」をイメージさせ、「かげ」と訓読みされることも同じですが、日常的には、どう使い分けていけばよいのでしょうか。 

まず「陰」ですが、「木陰」のように「光の当たらないところ」というだけではなく、「門の陰に隠れる」「陰の実力者」のように、「ものや人の裏などに隠れている部分」という意味もあります。

次に「影」は、「光を遮ったときにできるものの形」であり、「星影・月影」では星や月の「光」、「人影がない」では「ものの姿や形」、さらに「湖に映る山の影」のように「水や鏡に映る姿」としても使われます。加えて、「影武者」など「本物でないこと」の意味にも使われます。

「陰」と「影」。イメージとしては似ていますが、実際に書かれている文章内での表現と、「陰」と「影」のそれぞれの字義を照らし合わせていけば、使い分けで迷うことは少なくなると思われます。
 

Illustration:  Mimei Umimachi

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