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【授業リポート】5年「想像力のスイッチを入れよう」アナウンサーに学ぶ! メディアリテラシー講座

授業リポート

2022年4月27日 更新

2022年3月23日、19年と21年に豪雨被害を受けた佐賀県武雄市の朝日小学校にて、被災地支援「ずっとおうえんプロジェクト」として、フジテレビアナウンサーによる出前授業が行われました。光村図書の小学5年「想像力のスイッチを入れよう」を題材に、5年生66人が、メディアリテラシーについての理解を深めました。現地での授業リポートをお伝えします。

2022年3月23日、19年と21年に豪雨被害を受けた佐賀県武雄市の朝日小学校にて、被災地支援「ずっとおうえんプロジェクト」として、フジテレビアナウンサーによる出前授業が行われました。光村図書の小学5年「想像力のスイッチを入れよう」を題材に、5年生66人が、メディアリテラシーについての理解を深めました。現地での授業リポートをお伝えします。

まずは、コミュニケーションに必要な発声・滑舌を練習

フジテレビは2005年から、フジテレビ放送圏内の学校にアナウンサーを派遣して、スピーチ、インタビュー、音読など、言葉を通したコミュニケーションの出前授業「あなせん」を展開しています。

今回もその一環で、同局の安宅晃樹アナウンサーと、サガテレビの橋爪和泉アナウンサーが講師を務めました。

フジテレビ 安宅晃樹アナ

フジテレビの安宅晃樹アナ

サガテレビ 橋爪和泉アナ

サガテレビの橋爪和泉アナ

体育館に集まった子どもたちは、テレビで見たことがあるアナウンサーを実際に前にして、わくわくした様子。まずは、「あいうえお」の発声・滑舌練習や、声の強弱や表情によって気持ちを込める練習を通して、相手に伝わるための話し方・読み方を学びました。

よく通る発声のために、姿勢を正す練習をする子どもたち。

続いて、「想像力のスイッチを入れよう 『4つの疑問』の使い方」と題したメディアリテラシーについての授業がスタート。現代では、メディアに触れる時間が増えているにもかかわらず、情報の受け止め方や見極め方について教わる機会は少ないと前置きしたうえで、安宅アナが「今日は4つの疑問を覚えてもらいます」と話しました。

キーワードは「4つの疑問」

この「4つ」というのは、教科書の本文中に『』でくくられている4つのキーワードのこと。まさに、国語の授業で既習の内容を丁寧に確認・発展させる内容でした。

一つ目は、新しい情報に出会ったとき「まだわからないよね?」と心の中でつぶやくこと。つまり、結論を急がない、即断しないということです。安宅アナは「『決める』ことは知識が必要だけど、『決めない』ことに必要なのは意識だけだから、今日からできるよ」と呼びかけました。

二つ目は、「事実かな? 印象かな?」というチェックです。教科書にも載っている次の例文がスクリーンに映し出されます。

「Aさんは、報道陣をさけるためか、うら口からにげるように出ていきました。」

すると、授業で習ったことのある子どもたちから「知ってる!」という声。この例文の事実だけに注目すると、「Aさんは/うら口から/出ていきました」という言葉だけになります。安宅アナは、事実と印象を混同して、情報をそのまま鵜呑みにしないことの大切さを訴えました。

三つ目は、「他の見方もないかな?」。一つの見方に偏らず、「想像力のスイッチ」を入れて、別の角度からも見てみよう、という意味です。ここで、立場を変えて情報を見てみる演習です。「人里にクマが出た」というニュースを例に、子どもたちに、人間とクマそれぞれの目線でリポートをしてもらいました。

クマ役の子どもは、マイクを握り、「クマ里に人間が現れました。なんか…こっちを撮影しています」と緊張の面持ちでリポート。安宅アナは「人の目線だと単なる邪魔な動物退治というニュースだったけど、クマの目線に立つと、人と自然の共存という視点も加わって、ニュースを立体的に見ることができます」と説明しました。

四つ目は、「何がかくれているかな?」。ここで橋爪アナが、左半分を隠すと円に見え、右半分を隠すと四角形に見える図形を提示しました。

すると、授業で習った子どもたちから「ディー!」と大きな声があがります。予想通り、図形の正体はアルファベットの「D」。安宅アナは「一部だけを見てしまうと全体像を見誤ってしまう。暗がりに何が隠れているんだろうと、想像力のスイッチを入れることが大切です」と力を込めました。

「そうかな」で覚えよう!

まとめです。この日学んだ四つのキーワードの頭文字をとった「そうかな」(下記)の合言葉が、スクリーンに映し出されました。

 … ク断するな → まだわからないよね?
 … のみするな → 事実かな? 印象かな?
 … たよるな → 他の見方もないかな?
 … (スポットライトの)だけ見るな → 何がかくれているかな?

最後に安宅アナが「『想像力のスイッチ』を入れて、思い込みの小窓をこわして、もっと広い景色を見よう」と呼びかけた後、全員で記念撮影をして、授業が終わりました。

子どもたちからは「国語の授業で習ったことが、もっと深く理解できた。『そうかな』をいつも頭の中に入れておきたい」「タブレットを持っているので、裏に何が隠れているのか注意して、デマとかに引っかからないようにしたい」といった感想がありました。

フジテレビと「想像力のスイッチを入れよう」の筆者・下村健一先生が、吟味を重ねてつくりあげた今回の出前授業。子どもたちにとっても、楽しいだけでなく、たくさんの学びがあったようでした。

▼5年「想像力のスイッチを入れよう」筆者・下村健一先生の解説動画配信中!


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